ハヤミミDr.純子のメディカルサロン

第46回 防ぎましょう! 新型コロナによる適応障害
~「眠れない」「食欲ない」と困る前に~

 新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言発令後、私たちの生活環境は大きく変わりました。

 勤務形態が変わり、在宅勤務になったり、時差出勤になったり、仕事自体が縮小して、普段の生活のパターンが変わり、外出も制限のある中で、「適応障害予備軍」といえる人が増えている実感があります。

 「在宅勤務で朝起きるのが遅くなってしまった」「全く身体を動かさなくなり食欲がない」「一日のメリハリがなく、だらだらしてしまう」「食べ過ぎで身体が重い」などという声を聞きます。

写真はイメージです【時事通信社】


 ◆適応障害が起こりやすい季節

 適応障害は、要因とはっきり分かるストレスがあった場合、3カ月以内に起こる心身の変化です。

 もともと、4月から6月まで、入社や入学、異動、引っ越しなどがある時期は、ストレスによる適応障害で、心のバランスが崩れたり、体調の変化を訴える人が増えます。

 今は、こうした通常の季節で起こる環境変化に加え、新型コロナ感染拡大による環境変化、さらに先の見えない不安が加わるので、リスクの多い状況と言えます。

 ◆こんな症状に注意

 適応障害の症状は、人により、異なりますが、

 睡眠障害:朝早く目が覚めてしまう▽夢が多くて眠りが浅い▽起きてもすっきりしない▽寝つきが悪い

 食欲の変化:食欲低下▽過食

 気分の変化:うつ気分▽楽しいことがない▽イライラする▽普段は何でもないことですぐかっとする▽落ち着かない

 行動の変化:やる気が出ない▽物に当たる▽身支度するのがおっくう▽朝だるくて起きられない▽気がつくと何かをつまんで食べている▽アルコールの量が増える

 こうした症状のいくつかが、毎日続いている場合は、注意が必要で、特に2週間続いた場合は、受診レベルです。

 コロナ自粛の場合は、普段と違う生活による生活リズムの乱れも、適応障害の要因になりそうです。

 たまに眠りが浅かったり、食べ過ぎたりする程度なら、今現在は大丈夫です。しかし今後、コロナ自粛が長びく場合の対策を立てておくことが望まれます。

 そこで、「生活リズムをキープする」ということに焦点を当てて、適応障害の予防対策を考えたいと思います。

 ◆脳メカニズムを味方につける

 先日、光療法・生物リズム学会などの国際学会から、世界中の言語に翻訳された提言が、発信されました。

 この提言は、慣れない生活スタイルの中で、心の健康を保つためのヒントを示しており、心を穏やかに保つために役立っている脳メカニズムの一つである「体内時計」をキープすることで、生活リズムの乱れを予防しようというものです。

 不安な状況が続く中でも、体内時計が正確に働いていると、気分を安定させるために役立ち、つらい気分を和らげることができるというものです。

 この提言「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における、こころの健康維持のコツ」から、自己管理術をご紹介したいと思います。

 1.毎日、決まった時間に起きる

 2.毎日、一定時間、3密を避けて戸外で過ごす

 3.太陽の光を浴びる

 4.在宅でする作業の時間や学習、料理などの活動の時間を決めて同じ時間で行う

 5.毎日同じ時間に運動をする

 6.同じ時間に食事をする

 7.人との会話をテレビ電話などで行って交流を持つ

 8.昼寝は避ける

 9.夜にパソコンやスマホなどを見ない
  (ブルーライトは睡眠に必要なホルモンを減少させる)

 10.毎日、ほぼ同じ時間に起きて同じ時間に就寝する

 詳しくご覧になりたい方は「日本ポジティブサイコロジー医学会」のホームページをご覧ください。

 ◆無理なくできる方法を

 ちなみに、私がしている対策は、朝の軽い運動と夜のストレッチです。

 朝、起きたらまず、窓を開けて、朝の光を浴びます。朝の光は、夕方以降、分泌される睡眠に重要な働きをするメラトニンの分泌を促進します。

 夜は、10分程度の環境音楽をかけ、照明を落として、深呼吸しながらストレッチをするようにしています。

 生活リズムをキープして体内時計を正確に動かすことは、適応障害予防の大事なポイントになるはずです。ご自分なりに無理なくできる方法を考えてみてはと思います。

(文 海原純子)

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