インタビュー

コロナ、たまる子どものストレス 
家庭でできる対策は―専門医に聞く

 ◇規則正しい生活を

 家庭で子どものストレスをできるだけ和らげるためにはどうすればよいのか。小野氏は、幾つかの工夫を挙げる。「家だけにいると、通学していた時と比べて生活が乱れやすい」として、子どもの起床や就寝、食事の時間を学校がある時のように規則正しくすることが大事だと強調する。家族と共に過ごす時間が長くなると、親側の生活習慣に引っ張られやすくなりがちだ。

子どもたちが元気に登校できる日はいつ=記事本文とは関係ありません

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 例えば、親がリビングルームで夜遅くまでDVDを鑑賞し、子どもも一緒にいることもよくあるだろう。これは「いわば『大人時間』に『子ども時間』を合わせてしまうので、悪影響がある」。小野氏は「学校にいた時の時間に合わせて生活しないと、学校が再開された時に大きな心身のストレスを感じる恐れがある」と話す。

 ◇親と子どもの空間分ける

 もう一つは、子どもが自分の「領域」を確保することだ。現在、感染を防ぐために人々が互いに一定の距離を保つ「ソーシャルディスタンス」が盛んに推奨されるようになった。

 意味合いは違うが、「家族間の物理的接触を減らす」こともストレス対策のポイントで、できるだけ子どもだけの居場所を設けるようにしたい。それが精神的距離を保つことになり、心の安定につながる。家に子どもの自室があれば、そこである時間を過ごし、親と離れるようにする。

緊急事態下では家族連れの外出もはばかられる=記事本文とは庵系ありません

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 そんなゆとりがない家もあるだろう。「その場合、狭くてもパーティションによって、お父さんの空間、お母さんの空間、子どもの空間をつくりたい」。一つの部屋であっても、本棚や段ボール箱を使ってそれぞれの空間をうみ出すことは可能だ。「コロナ対策は長丁場なので、ぜひ子どもの領域を確保してほしい」。

 さらに、親子の協同作業も大事だと言う。掃除や料理の一部を手伝わせ、役割分担を決める。「親の『ありがとう』という言葉が自己達成感をうみ、安定につながる」

 ◇こんな場合は専門医へ

 家庭でのケアも大切だが、その範囲を超えて治療を必要とするケースもある。大人と違い、子どもは自分の気持ちや状態を言葉で表すのが難しい。小野氏は、保護者が注意すべき子どもの兆候があると言う。「長い間、食欲が低下したり不機嫌が続いたりする。おなかが痛かったり、頭痛がしたりするなどの身体的な不調が現れる」。こういう場合は要注意で、できるだけ早めに専門医の治療を受けるように勧めている。(鈴木豊)

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