「第2波」を警戒せよ
新型コロナ、欧米とアジアで差も―専門家
感染に気を付け、客に対応する百貨店=東京都内
◇欧米とアジアで毒性に差か
菅谷客員教授が指摘しているのが、欧州と日本を含めたアジア諸国で流行した新型ウイルスの感染力や感染時に重症化させる毒性に違いがあった可能性だ。変異を繰り返し、同じウイルスでも変異の結果、感染力や毒性に違いのある「亜型」が次々に出現するのは、インフルエンザウイルスではよく知られている。
もう一つ考えられるのが、人種差だ。人種によってさまざまな病気で症状に違いが出てくることが知られている。ただ、今回の事例ではアジア圏の人種構成が多岐にわたるため、疑問が残ると言える。アジア圏全体では欧州に比べて重症化しにくい若年者が多かったという議論もあるが、高齢化が欧州並みに進んでいる日本や韓国には適用できない。
「欧州の死亡者数が少なくてアジアで多ければ、医療や経済的な格差の中で欧州の患者がより良い治療を受けられたからと説明できる。しかし、今回は逆だ。アジア諸国では、欧米に比べて感染力や毒性の低いウイルスが流行した可能性も考え得る」と菅谷客員教授は分析している。
通勤客の乗降が増えたJR中央線中野駅のホーム
◇日本の死者数軽視するな
「今回の流行で日本の死者が欧米よりも少なかったとはいえ、アジア諸国で見ればフィリピンの0.77人に次ぐ多さで、軽視できる数字ではない。今年の秋にも予想される再流行が、欧米に見られたような激烈な流行になる可能性は否定できない」
その上で菅谷客員教授は「欧米諸国の状況を調査して、この夏の間に早期診断、早期治療の体制を確立すべきだ。患者の受け皿になる発熱外来の整備、集中治療室や病室とそのスタッフの拡充を積極的に進めるとともに、医療部門への財政的な支援も必要だ」と強調した。(喜多宗太郎・鈴木豊)
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(2020/05/28 11:27)