治療・予防

治療の選択肢が拡大―慢性じんましん
重症例に月1回の注射薬が有効(横浜市立大学付属病院皮膚科 猪又直子医師)

 かゆみを伴う皮膚の赤い腫れ(膨疹=ぼうしん)が表れては消えるといった状態を6週間以上繰り返す「慢性じんましん」。原因は特定できず、治療はかゆみ止めなどの作用がある抗ヒスタミン薬の内服が基本だが、効果が不十分な患者もいる。日常生活に支障を来す重症患者向けの注射薬が2017年に登場し、効果を上げている。横浜市立大学付属病院(横浜市)皮膚科の猪又直子医師に聞いた。

じんましんの注射薬(オマリズマブ)の特徴

 ▽膨疹の出没を繰り返す

 慢性じんましんでは、突然、皮膚に赤く盛り上がった膨疹が生じる。形や大きさは、小豆ほどの円形から手のひら大の地図状までさまざまで、全身のどこにでも生じる。

 膨疹は数十分から数日以内に跡形もなく消えるが、その間、かゆみに悩まされ、仕事や家事、勉強に集中できず、睡眠も妨げられる例もある。食べ物や薬剤の摂取といった原因は特定できず、6週間以上にわたり毎日のように出没を繰り返す。

 かゆみと膨疹は、皮膚にある肥満細胞が活性化してヒスタミンなどの化学伝達物質を放出することで生じる。

 治療の基本は抗ヒスタミン薬の内服だ。患者の様子を見て、量を増やしたり、他の薬剤に切り替えたりしながら症状をコントロールし、症状がなくなれば薬の量を減らして中止する。

 ▽かゆみと膨疹を完全に抑制

 患者の多くは抗ヒスタミン薬などで症状が軽減または消失するが、効果がない場合の選択肢の一つとして、17年にオマリズマブという注射薬が使えるようになった。同薬は肥満細胞の活性化に関わるIgEという分子に結合し、肥満細胞の活性化を抑えるなどして効果を表す。

 同薬の臨床試験では、月1回の皮下注射を3回続けると、「患者の約50%でかゆみや膨疹の程度が改善しました。そのうち半数以上はかゆみと膨疹が完全に抑えられました」と猪又医師。まれな副作用として、重篤なアレルギー反応が海外の臨床試験で報告されている。

 従来の薬で効かない患者に効き目を発揮するメリットは大きいが、中止すると1~3カ月の間に再発する人もいるという。そのため「効果が認められた場合、注射の間隔を空けるか、量を減らすなどして治療を続けることが多いのです」と猪又医師は説明する。

 一方で、1回の薬剤費の自己負担は約1万7500円(3割負担の場合)と比較的高額なことが課題だ。事前に効き目を予測できれば無駄な投薬を避けられることから、有効な患者を予測するための研究が進んでいるという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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