治療・予防

足の小指の付け根が変形―内反小趾
皮膚の赤みや靴底の減りも判断材料に(大手前病院足の外科センター 林宏治センター長)

 靴を履くと足の小指の付け根が当たって痛くなり、サイズを変えてもしばらくすると同じように痛くなる―。「女性に多い内反小趾(しょうし)という疾患です。早期に気付くことが大切です」と大手前病院(大阪市)足の外科センターの林宏治センター長は話す。

筋肉量の少ない女性に多い内反小趾

筋肉量の少ない女性に多い内反小趾

 ▽痛みには個人差

 内反小趾は、足の小指が親指側に曲がる疾患だ。小指の付け根につながる中足骨の先端が外側に突出して靴に当たるため、痛みや炎症が生じ、たこやうおのめができて痛むこともある。「痛みに関しては個人差が大きい疾患です。小指が大きく曲がっていても痛みを感じない人もいれば、小指の付け根が腫れて耐えがたい痛みを感じる人もいます」と林センター長。痛みが生じる場所も突出した側面、上面、真下などさまざまだという。

 内反小趾の原因は、先の細い靴やヒールの高い靴を履く、歩行の際に足の裏の外側に荷重がかかるO脚、あぐらをかく習慣などが考えられる。「関節を支える筋肉の量が少ない女性に多く見られる足のトラブルです」

 また、扁平(へんぺい)足や外反母趾(ぼし)を伴っていると、親指や親指の付け根で踏ん張りにくい。そのため、歩く時に荷重が小指のある外側へと移り、小指の内反を促進させるという。

 ▽膝関節の変形や炎症も

 内反小趾の治療は痛みの程度によって決定する。我慢できる痛みであれば、靴の中でかかと部分の安定性が高い適切な靴の選択、足裏の外側に荷重がかからない中敷きの使用、O脚であれば歩き方を指導する。痛みがひどい場合は手術を勧める。外側に突出した中足骨自体を形成したり、骨周囲の靱帯(じんたい)などを修復したりして、親指側に傾いた小指が真っすぐになるよう矯正する。入院期間は約3週間。入院中に歩き方の指導も行う。

 注意が必要なのは、痛みがそれほど強くなくても膝に影響が及んでいる場合だ。検査で膝までのX線撮影を行うのは、痛みを避ける不自然な歩行を続けていると膝に負担がかかり、膝の関節に変形や炎症が生じることがあるためだ。内反小趾の治療がそのほかのトラブルの治療につながる場合もあるため、「治るまで根気強く治療を続けることが重要です」と林センター長。

 「自分の足を観察して小指の付け根辺りが赤くなっていたり、靴底の外側ばかりがすり減ったりするようであれば、痛みの有無にかかわらず整形外科を受診してください」と早期に気付くことの大切さを強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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