治療・予防

胸のしこり、男性も注意
~女性だけではない乳がん(国立がん研究センター中央病院腫瘍内科 米盛勧科長)~

 女性特有の病気と思われがちな乳がんだが、少数ながら男性の患者もいる。がんが発生する乳腺という組織は男性にもあり、増殖を促す女性ホルモンは男性の体内でもつくられているからだ。男性乳がんについて、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)腫瘍内科の米盛勧科長に聞いた。

胸のしこりやリンパ節の腫れがあれば受診を

 ▽60~70代中心に

 主な症状は胸の硬いしこりや乳首からの分泌物で、進行すると皮膚を突き破って潰瘍ができたり、脇の下のリンパ節が腫れたりする。どの年齢でも発症するが、60~70代が多い。日本では年間600~700人がかかり、乳がん全体の約0.5~1%を占める。

 発症のリスクは、遺伝的背景、肝臓の病気、肥満など。例えば、家系に男女を問わず乳がん経験者がいる男性は、そうでない場合と比べてリスクが2倍になる。細胞のコピーミスを修復する遺伝子に異常がある人もリスクが高い。

 肝疾患や肥満の人、男性ホルモンをつくる精巣が萎縮するクラインフェルター症候群の人は、血液中の女性ホルモン量が増えやすいことが乳がんのリスクとなる。

 ▽早期発見・治療を

 治療は、がんが初発か再発か、がんの性質とステージ、患者の状態などを踏まえて選択される。例えば、完全に切除可能なら手術し、その前後に薬物療法や放射線治療を行う流れだ。

 薬物療法には、女性ホルモンの働きを抑えるホルモン療法薬、抗がん剤、がん細胞の増殖を促すタンパクの働きをピンポイントで阻害する抗体薬などがある。これらは、他の臓器への転移などにより手術できない場合や再発の場合の主要な治療手段にもなる。

 米盛科長によると、女性乳がんは5年生存率が93.2%と治療の効果が高く、男性も同じ傾向と考えられるという。ただし、男性も女性も、進行した状態で治療を開始するケースでは長期生存が難しい可能性もある。

 米盛科長は「早期発見を目的に検診の体制が整っている女性に比べ、男性乳がんは発見が遅れがちです」と指摘。「胸のしこりや脇の下のリンパ節の腫れがあれば、外科を受診しましょう」と推奨する。特に、近親者に遺伝性乳がんの人がいる場合は早めの受診を勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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