治療・予防

「赤あざ」に保険期待 =分類標準化と最新治療

 従来「血管腫」と総称されていた「赤あざ」が国際的に標準化された分類に合わせて名称を整理され、「血管性腫瘍」と「血管奇形」に大きく分けられた。東海大学医学部付属病院(神奈川県伊勢原市)形成外科の宮坂宗男教授に、最新の治療法について聞いた。

 ◇薬物療法に効果
 血管性腫瘍は血管の内側の細胞の内皮細胞が異常に増殖する病気で、イチゴのように赤く盛り上がった「乳児血管腫(従来のいちご状血管腫)」がその典型だ。生後1~4週に表れ、急速に増大して7歳ごろまでに自然に消えることが多い。急速に増大する場合は、まぶたが開けられなくなり視力が低下することもある。
 レーザー治療や切除手術のほか、血管腫の退縮を促すための薬物療法も行われる。従来ステロイド薬が使われていたが、β(ベータ)ブロッカーのプロプラノロール内服治療が効果的であることから、間もなく保険適用されそうだという。なお、以前はドライアイス療法や放射線療法が行われたこともあるが、現在は行われていない。

 ◇血管奇形はレーザーで
 一方、血管奇形は血管が異常に形成される病気で、出生前から存在し、体の成長とともに増大して自然には消えないのが特徴だ。「毛細血管奇形」「静脈奇形」「動静脈奇形」「リンパ管奇形」などに分類される。
 中でも従来は単純性血管腫と呼ばれた毛細血管奇形は最も頻度が高い。患部は平らで、幼少時にはピンクや赤い色をしているが、成長に伴い徐々に暗赤色になることからポートワイン母斑とも呼ばれる。
 「毛細血管奇形で一般的なレーザー治療では、パルス色素レーザー治療装置など機器の進歩があります。熱傷、色素沈着、瘢痕(はんこん)などの治療後の副作用を予防する皮膚冷却装置を搭載しています。保険も適用されており、早めにレーザー治療を専門に行っている皮膚科や形成外科に相談することをお勧めします」と宮坂教授。
 また、2015年には血管奇形のうち「巨大動静脈奇形(頚部=けいぶ=顔面または四肢病変)」や「クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」などが難病指定された。治療費に悩む患者にとって朗報と言えよう。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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