インタビュー

甘く見ないで 月経の体調不良=子育て世代は我慢し過ぎ

 7割を超える女性が月経に伴う体や心の不調を抱えているといわれる。30代後半から40代前半を中心とする子育て世代の場合も悩みは深刻だ。産婦人科医・臨床心理士で「よしの女性診療所」(東京都中野区)の吉野一枝院長は「子育て世代の女性は子どものことには一生懸命で、熱がでればすぐ医療機関に連れて行く。でも、自分のことは後回しにして、よほど調子が悪くならないと医療機関にかからない」と指摘する。子育て世代は我慢強いが、それは決して良いことばかりではない。
 ◇背後にメンタルの要素
 吉野さんによれば、▽ひどい月経痛▽月経前症候群(PMS)▽月経不順―の三つが月経に関係する「3大症状」だ。「月経痛は当たり前とやり過ごされ、病気という意識をなかなか持てない。しかし、月経痛がひどい場合、その原因として子宮内膜症が隠れていることもある」。月経不順についても、プロラクチンというホルモンが通常より多く分泌されている場合、脳下垂体の腫瘍の恐れがある。吉野さんは「決して数は多くないが、患者の何人かはこのケースだった」と振り返る。
 PMSは、月経前の女性にさまざまな不調をもたらす。身体的には、乳房の痛みや腰痛、おなかの張り、頭痛。精神的には、抑うつ状態になったり、怒りっぽくなったりする。さらに、いらいらや不安、引きこもりになることもある。こうした症状のうち、過去3カ月以上連続して月経が始まる5日前に一つ以上の症状があれば、PMSだとされる。
 月経に関係する卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は、日々変動している。吉野さんはその点を踏まえ、「理論的に証明されてはいないが、月経のトラブルの背景には、メンタルな要素が関係しているのではないか」と推測する。

 

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