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悪者ではない胃下垂
胸焼けは自律神経が関係

 胃下垂には、胃の働きが弱い、太りにくいといったイメージがある。しかし、兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)消化管内科の三輪洋人主任教授は「最近、胃下垂が胃の機能に影響を及ぼすことはなく、胸焼けや胃もたれなどの不調には、むしろ自律神経の変調が関係していることが分かってきました」と話す。

 ▽胃の位置は無関係

 胃下垂とは、胃が正常な位置よりも下がっている状態をいう。内臓脂肪が少ない人に起こりやすい。従来は胃の位置が胃の機能低下の原因で、胸焼けなどを引き起こすと考えられてきた。

その胸焼け、胃下垂が原因ではありません
 しかし、三輪主任教授は「胃下垂の状態であっても、胃が食べた物をためる量、胃に入ってから排出されるまでの時間などは、一般的な位置にある胃と変わりはありません。消化能力も衰えることはなく、胃もたれしやすくなることもありません」と説明する。胃下垂だから痩せているのではなく、痩せていて内臓脂肪が少ないため、重力で胃が垂れ下がって胃下垂になりやすいということだ。

 これまでは胃下垂の人が胸焼けや消化不良、胃痛などを起こすと、「胃下垂が原因の胃アトニー(働きが弱った状態)」と診断されてきたが、胃下垂と胃の症状には関係がないことから、現在では「胃アトニー」という呼び方はされなくなってきているという。

 ▽生活習慣の見直しを

 「胃下垂に限りませんが、胃痛などの症状は、胃の機能をつかさどる自律神経の影響によるものが多い」と三輪主任教授は指摘する。例えば、残業が続く、就寝時間が遅いなど、ストレスや不規則な生活習慣で自律神経の変調を起こしやすくなる。そうすると、がんや潰瘍などがなくても胃の機能が低下したり、痛みが生じたりする。

 胃に病変がない場合では、生活習慣の改善やストレスの解消が重要だ。胃の機能を改善する薬を飲むことで症状が治まることも多い。

 三輪主任教授は「胃下垂そのものは心配ありません。胃痛や胃もたれなどを頻繁に起こす場合には、ストレスや不規則な生活などがないか自分の生活を見直してみることが大切です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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