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「担当の医師が自分の立場だったらどういう治療を選ぶか?」という質問の答えが難しい理由のもう一つに、「患者さんと全く同じ状況に自分の身をおいて考えることはできない」ということがあります。
自分とは全く異なる年齢、性別で、これまでにかかった病気などの医学的背景も異なる人を自分に置き換えて考えることの難しさもありますが、それ以上に、患者さんを取り巻く家庭環境に身を置いた自分を想像することの難しさがあります。
治療選択には、家庭環境を含めた社会的背景が大きな影響を与えます。
例えば、外来通院で副作用のリスクが高い治療を行う時は、何かあった時に容易に病院に行ける交通手段があるかどうか、困った時に協力してくれる家族がいるかどうかが重要です。患者さんが入院して治療を受けるなら、家族はたびたび病院に行かなくてはなりません。
◇「先生ならどうしますか」
新たな薬を始めたり、リスクを伴う検査をしたりする時など、ことあるごとに家族は病院に呼ばれ、医師から頻繁に説明を聞くことになります。患者さんが急変したら、休日でも夜中でも病院から電話がかかります。手術になれば、朝から晩まで家族が病院に詰めることもあります。
入院中は、医師や看護師などの医療スタッフだけで全ての患者さんの細かな日常生活をカバーできません。やはり病状によっては、定期的に家族の来院が必要、と説明せざるを得ないケースもあります。
さらには、家庭によっては、「幼稚園に通う小さな子どもがいる」「受験を控えた高校生の息子がいる」「つきっきりで介護が必要な高齢者がいる」といった、ライフステージに応じた固有の制限もあるでしょう。
医師にとっては、これらの社会的背景を持つ患者さんに、自分をぴたりと当てはめて考えることは極めて困難と言えます。むしろ医師には、「自分には正確な判断が困難である」という自覚や謙虚さがなくてはならない、とすら言えます。
医師は、この難しさを患者さんに十分に伝えた上で答えを用意する必要がありますし、患者さんは「あなたならどうするか」に対する医師の答えが、こうした社会的背景を完全に自分に置き換えて導き出されたものではない、ということに十分注意する必要があるでしょう。
このようなさまざまな理由から、「先生ならどうしますか」という質問とその答えについて考える時は、医師にとっても患者さんにとっても、十分な注意が必要だということをご理解いただければと思います。
(2018/10/17 06:00)
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