治療・予防

野球のボールで心室細動=突然死招く心臓振とう

 心臓振とうの多くはスポーツ中の子どもに起こり、日本で知られるようになったのは2000年すぎだ。胸に受けた衝撃が原因で、心臓が不規則にけいれんする心室細動から心停止に至る。埼玉医科大学総合医療センター(川越市)救急科(ER)の輿水健治教授は「子どもたちの命を救うために、自動体外式除細動器(AED)の持参と救命講習の受講を」と呼び掛ける。

 ◇健康な子に起こる
 心臓振とうが多いスポーツは野球で、取り損ねたボールが胸に当たった直後、突然脱力状態となり倒れる。「ワンバウンドのボールのような比較的軽い衝撃で起こるため、子どもの球速くらいが心臓振とうを起こしやすいのかもしれません」と輿水教授は説明する。

 心臓振とうは、心臓が収縮した後に元に戻ろうとする瞬間、時間にして1000分の15秒というわずかなタイミングに合わせて衝撃が加わると起こる。「スポーツをしている時や、子ども同士がふざけて、肘や膝が胸に当たることでも起こります。心臓病の無い健康な子どもに起こるのが特徴です」

 日本では、輿水教授が日本蘇生学会で発表した資料によると、1997~2015年に46件発生、うち36件がスポーツをしている時だった。発症年齢は中学生から高校生がピークで、クラブ活動などの機会が多い年齢だ。子どもに多い理由は、心臓や肺を取り囲む胸郭という骨が発達途上で軟らかく、心臓に与える衝撃の影響が大きいからと考えられる。

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