原因特定が重要
進行性ミオクローヌスてんかん
厚生労働省は2017年4月、「進行性ミオクローヌスてんかん」という病気を新たに難病に指定した。自分の意思とは無関係に体の一部がぴくんぴくんと動くのが特徴で、進行すると運動機能や認知機能が低下し、寝たきりになってしまうこともある。京都大学医学部付属病院(京都市)神経内科の松本理器准教授に聞いた。
▽勝手に動く手足
進行性ミオクローヌスてんかんは、全身のひきつけや意識消失といったてんかん発作に加えて、勝手に手足や顔面などが動く不随意運動(ミオクローヌス)が表れる。不随意運動は、筋肉が急速に収縮することで起こるが、筋肉の一部にとどまるものと、全身に及ぶものがある。
気になる症状があったら受診を
進行すると、筋肉の動きと神経がうまく協調せず、歩行時にふらつくなどの運動失調症状や、記憶力などが低下する認知機能障害が表れる。これらの症状は徐々に悪化して数年から数十年で寝たきりになることもある。
原因となる病気には、認知機能や運動機能に関係する脳の神経細胞が徐々に障害を受け、減ってしまう「ラフォラ病」や「ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病」などがある。松本准教授は「日本人には、特定の神経細胞に異常が起こる『歯状核赤核淡蒼球(しじょうかくせきかくたんそうきゅう)ルイ体萎縮症』という病気が原因となるものが最も多く、遺伝子も特定されています」と説明する。
▽薬で症状を抑制
進行性ミオクローヌスてんかんは、原因となる病気によっては遺伝する可能性が高いため、原因の特定が重要だ。病気の初期は運動機能や認知機能の低下が表れにくく、てんかん発作を起こす他の病気との鑑別が難しいが、原因を特定しておけば患者の子どもが発症する可能性を認識しておくことができるからだ。
進行性ミオクローヌスてんかんには、抗てんかん薬などで発作や不随意運動を抑える対症療法しかない。しかし、最近、原因となる遺伝子が相次いで特定されており、根本的な治療法の開発が期待できそうだ。
松本准教授は「患者数が国内で約3000人という非常にまれな病気ですが、意識していないのに手足がぴくんぴくんと動く、ふらつくなどの症状が頻繁に表れるようなら、神経内科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/11/30 06:00)