運動失調 家庭の医学

 筋力があるにもかかわらず、運動がスムーズにできず、バランスがうまくとれない状態を運動失調といいます。上肢では字がうまく書けない、不器用、手がふるえる、下肢ではふらつく、めまいがする、転びやすい、階段降りが困難などとうったえ、しゃべるときにろれつが回らない(構音障害)とうったえます。
 ゆっくり起こってくる病気として、脊髄小脳変性症があります。からだのバランスを失う、眼球が自動的周期的に一定方向へ動く、といった症状がみられます。小脳梗塞や小脳出血では、運動失調が急に出現することがあります。
 また、前庭神経炎、聴神経腫瘍、メニエル病などでも運動失調がみられますが、これらはめまいを伴うのが一般的です。

■運動失調
症状病名そのほかの症状など
運動失調脊髄小脳変性症ゆっくり進行する、眼球運動異常
小脳梗塞眼球運動異常、ふらつき
小脳出血回転性のめまい、歩行障害
パーキンソン症候群小刻み歩行、手足のふるえ、無表情、筋肉のこわばり
脊髄癆バランスの障害、排尿障害
めまいを伴う前庭神経炎めまい
メニエル病回転性のめまい、耳鳴り、吐き気、難聴


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹