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日本人の死因の第5位を占める肺炎は高齢者ほど発症する確率が高く、死亡率も上昇する。新型コロナのまん延で、肺炎予防への意識が高まっている。高齢者の肺炎に詳しい東京医科大学(東京都新宿区)微生物学分野の宮崎治子准教授に聞いた。
高齢者の肺炎は予防が大事
▽高齢者ほど重症化
肺炎は、主に細菌やウイルスなど病原体の感染が原因で肺に炎症が起こる病気。発熱、せき、たん、呼吸困難、胸の痛みなどが主な症状だ。「ただ、体の免疫反応や反射が低下している高齢者では症状がはっきり表れず、何となく元気がない、食欲がない程度という例もあり、治療の遅れにつながることがあります」と宮崎准教授は指摘する。
高齢者の肺炎の原因菌で最も多いのは肺炎球菌だ。身近に存在し、通常は鼻や口に保菌しても発症しない。しかし、栄養不足や持病(心臓や肝臓、腎臓、呼吸器の病気、糖尿病など)で抵抗力が低下した高齢者は発症・重症化しやすくなる。また、食べ物などを飲み込む時に誤って気管に入ることで起こる「誤嚥(ごえん)性肺炎」にも注意が必要だ。
▽ワクチンで予防を
治療は基本的に入院して抗菌薬を投与する。「高齢者は、治療中寝込んでいる間に体力が低下して、治っても再び肺炎にかかるという悪循環に陥ることも。肺炎を繰り返すうち、寝たきりになる恐れもあります」
そこで重要になるのが予防だ。バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心掛けて抵抗力を付ける。うがいや歯磨きで口腔(こうくう)内を清潔に保つ。感染防止にはマスク、手洗い、手指消毒が有効で、口や顎の運動、飲み込みやすい食事など、誤嚥を防ぐ工夫も大切だ。
肺炎球菌ワクチン接種も推奨される。2種類あり、幅広い種類の菌に対応する23価ワクチンは、65歳以上なら該当年度に1回、定期接種(自治体の補助あり)で受けられる。免疫効果を高める13価ワクチンは、高齢者や罹患(りかん)リスクが高い人は任意接種(自己負担)で受けられる。
「インフルエンザの後にも肺炎球菌による肺炎になりやすいのですが、肺炎球菌とインフルエンザのワクチンを併用すると両方の予防効果が高まります。両ワクチンは同時接種が可能です」と宮崎准教授はアドバイスしている。ただし、新型コロナと肺炎球菌のワクチン接種は、現状では2週間以上の間隔を空ける必要があることに留意したい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/25 05:00)
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