花岡一雄 医師 (はなおかかずお)

JR東京総合病院

東京都渋谷区代々木2-1-3

  • 麻酔科・痛みセンター
  • 名誉院長

麻酔科 神経内科 ペインクリニック科

専門

痛みの治療、慢性疼痛

花岡一雄

花岡一雄医師は、痛み治療の先駆者として、国内でおよそ2,000万人といわれる慢性疼痛患者の治療の最前線に立つ。独自に開発した薬剤を用いた治療や「硬膜外腔鏡」と呼ばれる内視鏡を用いた治療など、先進の医療を実践してわが国のペインクリニック界をリードしている。2010年には、慢性疼痛に関する情報を受発信する「ペイン情報センター」を設立。代表世話人として、機関紙や患者向け小冊子の発刊、講演やセミナーの開催、調査の実施など、幅広い広報・啓発活動にも取り組んでいる。

診療内容

世の中の高齢化が進行するに従い、帯状疱疹の治癒後に残る神経痛(帯状疱疹後神経痛)や脊椎手術後の疼痛(脊椎術後疼痛症候群)といった難治性の慢性痛を抱える患者が増加。現在、慢性痛に悩む人はおよそ2,000万人にも及ぶと考えられている。
「痛みが長期化すると、寝たきりになるなど生活の質(QOL)が低下するおそれがあります。多くの患者さんが日常生活に何らかの支障を抱えていて、就学・就労への影響も心配されます。こうした状態に陥った場合はもちろん、陥る危険性が高いときにも、苦痛を適切に緩和することが重要になります。専門医は痛みに苦しんでおられる患者さんが、できるだけ早く痛みから解放されるように、お手伝いさせていただく痛み治療のスペシャリストなのです」(花岡医師)
同院は、わが国の痛みの治療をけん引している。麻酔科内に設置された「痛みセンター」では、帯状疱疹後神経痛、外傷後(術後)疼痛、悪性腫瘍による疼痛、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症、突発性難聴その他難治性疼痛など、あらゆる痛みを治療の対象としており、全国各地から多くの患者が訪れている。重症の人も多い。痛みに対する治療のうち、比較的よく知られているのは神経ブロックだろう。痛みに関わる神経の周辺に局所麻酔薬、抗炎症薬、鎮痛薬を注入することで、痛みや筋肉の緊張をとり、血行の改善と炎症の治癒を目指す。
「レイノ-病や閉塞性動脈硬化症などの血流不良が要因となる患者に対しては、血管拡張療法や交感神経ブロック治療、顔面神経麻痺や突発性難聴に対しては、星状神経節ブロックを実施して血流を改善させることで、筋肉麻痺の改善や聞こえを良くすることを目指しています。また、帯状疱疹後神経痛に対しては、各種ブロックのほか、患部や痛みに関わっていると考えられる部位にレ-ザ-や近赤外線を照射することで鎮痛を目指す光線治療と薬物療法を併用しています」
病院の薬剤部で開発された「リドカイン軟膏」、「クロニジン軟膏」といった独自の薬剤を用いたり、鍼灸師による針治療を取り入れたりするなど、痛み治療の先駆的施設として、さまざまな工夫を実践している。
JR東京総合病院は、以前から整形外科とそれに付随した回復期リハビリに強い病院として知られ、例えば脊柱管狭窄症に対しては、整形外科と麻酔科の連携により神経ブロックやレーザー治療を行っている。また、脊椎の手術後に残ったり、強まったりする腰・下肢痛、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などによる疼痛については、「硬膜外内視鏡」と呼ばれる0.9ミリ径の内視鏡を用いた神経癒着剥離術による治療も行っている。
「脊髄を取り囲んでいる硬膜外腔組織が神経周囲に癒着していると、神経ブロックを施行しても局所麻酔薬が神経まで到達しないために痛みが治まりにくいのです。このため、内視鏡を用いて癒着をはがした上で、神経ブロックや薬物療法といった治療を行うことで、治療の効果を高めます」
現在のところ、この治療が行える施設は全国でもごく限られている。このほか、がんの緩和ケア、精神神経科との連携による難治性のうつ病に対する「修正型電気けいれん療法(m-ECT)」も実施。全身麻酔を行った上で頭部電流を流す治療法で、9割以上の患者に有効だという。さらに、呼吸器内科とも共同で治療を行い、国の特定疾患に認められているサルコイドーシスに対して世界に先駆けた疼痛治療を行っている。

医師プロフィール

1971年3月 東京大学医学部 卒業
1974年1月 米国エール大学麻酔科レジデント・ポストドクトラルフェロー
1991年4月 東京大学医学部麻酔学教授
2001年1月 東邦大学客員教授
2005年4月 JR東京総合病院院長
2005年4月 東京大学客員教授
2006年4月 千葉大学臨床教授
2006年6月 東京大学名誉教授