増田豊 医師 (ますだゆたか)

東京クリニック

東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル1F・B1F

  • ペインクリニック
  • 部長

麻酔科 神経内科 ペインクリニック科

専門

慢性疼痛、ペインクリニック

増田豊

慢性疼痛については「複数の診療科だけでなく、家族や職場とも連携した集学的なチーム医療」を提唱。研究テーマは「星状神経節ブロック療法の治療効果の検討」「各種鎮痛補助薬の侵害受容性疼痛への効果の検討」「女性ホルモンによる疼痛感受性亢進メカニズムの解明」など。教員・医療従事者・製薬開発担当者らを交えたワークショップ等を通し、共同研究や地域合同研究への発展を目指す。母校の昭和大学東病院でも月2回(第1および3週金曜日)外来を担当している。

診療内容

増田豊医師はペインクリニックのエキスパート。ペインクリニックとは、主に神経ブロック(神経に局所麻酔薬を作用させ、神経の伝動を遮断し、痛みを感じなくさせたり、血管を拡張させ血流を改善し治癒を促したりする)を用いて痛みの治療をする診療科である。慢性疼痛に対する増田医師の基本的な治療方法も、神経ブロックを有効利用したものだ。「まず身体的な痛みを冷静に評価し、薬物・神経ブロックが有効なら適宜実施します。慢性疼痛について患者が十分に理解できるよう導くことが医師の役割であり、複数の診療科だけでなく、家族や職場とも連携した集学的なチーム医療が求められます」(増田医師)
なお、治療後は30~120分、リラックスしながら休むことも重要であるという。
以下、代表的痛みの疾患である帯状疱疹、腰痛症、がん性疼痛をはじめ、慢性疼痛のさまざまな症状に対する治療方法や診断法などをまとめた。
【帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛】…激痛が長期間続き、手遅れになると治療も非常に難しい。症状を予防するためにも、神経ブロックをできるだけ早期に始めることを推奨する。
【腰痛症・下肢痛】…椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など痛みの原因を的確に診断してから、硬膜外ブロック矢神経根ブロック等の治療を行う。硬膜外ブロックの利点とは適応範囲が広く、腰痛症・下肢痛に広く効果が得られることである。通常7~8回を目安に治療を行い、効果を見ながらさらに続けるケースも。なお、この治療を長期間続けても副作用はない。集中的に治療(硬膜外ブロックやレントゲン透視下に神経根ブロックや椎間関節ブロック、椎間板加圧注射療法など)を行ために短期間入院したり、効果を持続させるために高周波熱凝固術を行うケースもある。
【がん性疼痛】…まずはWHOが推奨する疼痛管理法を用いるが、対応しきれない痛みの場合は、内臓神経ブロックや持続硬膜外ブロックで痛みを抑える。これにより、在宅での疼痛管理も可能に。
上記以外の特殊な治療法としては「皮下埋込式硬膜外アクセスシステム」などがある。
【星状神経節ブロック】…ペインクリニック外来で非常によく利用される治療手段。顔面・頭部から上胸部より上の領域の痛みや、多彩な症状に適応がある。具体的な疾患としては、顔面神経麻痺・突発性難聴・頭痛・頸肩腕領域の痛み(頸椎症性神経根症など)・上肢血行障害・帯状疱疹など。
【硬膜外ブロック・持続硬膜外ブロック】…脊髄の外側にある硬膜外腔という空間に局所麻酔薬を投与し、痛みをはじめとする苦痛を取り除くのが硬膜外ブロック。外来での硬膜外ブロックの効果が弱いときや、通院が難しいときには、持続硬膜外ブロックを行う。具体的には、入院して硬膜外に細いカテーテルを留置し、カテーテルから薬を注入する。これにより1日複数回また持続的に注入できるため、集中的にブロック治療が行える。入院期間は1~4週間程度。腰下肢痛が強く通院が辛いケースや、帯状疱疹・がんに伴う痛みなど、多くの治療にも用いる。
【皮下埋込式硬膜外アクセスシステム】…国内でも特殊な治療法。基本的には持続硬膜外ブロックであるが、カテーテルシステム全体を皮下に埋め込むことで、患者自身や家族で痛みの治療が可能となる(入浴・旅行も可能)。現在のところ、がんの痛みの場合のみ保険適用となっている。
【脊髄電気刺激療法(SCS療法)】…神経ブロックや内服薬では効果が得られないケースや、手術等も難しい慢性の難治性疼痛(CRPS・フェイルドバック症候群・脊柱管狭窄症等の頑固な痛み・下肢血行障害)に効果があるといわれている。具体的には、脊椎の硬膜外腔に電極を、腹部に刺激装置を埋め込み、弱い電流を流して脳への痛み刺激を減弱させる。薬剤を使用せず自身で調整できるため、副作用がなく鎮痛薬等も減量できるなどのメリットが。ただし「痛みの質を変える方法」であり、まったく痛みがなくなるわけではない。また、試験留置を含めた小手術を行うため1~2週間の入院を必要とする。
【椎間板内加圧注射療法】…椎間板に直接針を穿刺し、生理食塩水を注入して椎間板ヘルニアを移動・破砕ことで減圧を計り、症状を取る方法。すべてのヘルニアに効果があるわけではないものの、症状が取れるときは劇的に良くなり1日の入院で治療可能。忙しい患者や若い患者には適している。
【レーザー治療】…局所に低出力のレーザーを当てて血液循環を改善する。抗凝固薬を使用している患者で、神経ブロックでは出血のリスクがある患者に対して使用している。
【ドラッグチャレンジテスト】…原因特定が難しい痛みのある患者にいろいろな試薬を点滴し、その反応を見ながら痛みを分類していく方法。治療ではないものの、このテストにより各々の痛みに適した治療方法を決めることができる。何種類か強い薬を使うため1日程度の入院が必要。
【高周波熱凝固法】…神経破壊(長期間働かなくさせる)を必要とする症状に対して行う。痛みの原因となる神経を透視下に確認し、特殊なブロック針・機器を用いてピンポイントで熱凝固させる。温度と作用時間を調節することで、神経破壊の程度を調節することができる。
「その他にも東洋医学的治療(主に漢方薬や針治療)など、痛みを取る方法はいろいろ考えられます」と増田医師。
「痛みは単に知覚だけでなく、感情・認知・行動にも影響を与えるもの。経過が悪い場合には身体的要因に加え、心理的要因にも配慮する必要があります。上で述べたような治療が無効な場合は過剰な治療を控え、精神科や心療内科とも連携し、認知行動療法を取り入れます」増田医師は最後に改めて、慢性疼痛に対する「チーム医療の必要性」を強調した。

医師プロフィール

1971年 昭和大学医学部 卒業
1972年 昭和大学医学部麻酔科
1982年 昭和大学医学部麻酔科助教授
2002年 昭和大学医学部麻酔科教授
2006年 聖マリアンナ医科大学客員教授
2007年 昭和大学薬学部治療ニーズ探索学教室教授
2012年 昭和大学定年退職,昭和大学薬学部客員教授
2012年 東京クリニック ペインクリニック内科部長