北原雅樹 医師 (きたはらまさき)

横浜市立大学附属 市民総合医療センター

神奈川県横浜市南区浦舟町4-57

  • ペインクリニック
  • 准教授

麻酔科 神経内科 ペインクリニック科

専門

難治性慢性疼痛

北原雅樹

北原雅樹医師は、世界で初めて設立された痛み治療センター、ワシントン州立ワシントン大学ペインセンターで学ぶ。得意とするのは、通常の治療法では効果が少ない難治性慢性疼痛。ほとんどの場合が複雑な要因が組み合わさって痛みが生じているため、初診時は最低でも2、3時間もの時間を要する。筋・筋膜痛の効果的な治療法として多用しているのが「筋肉内刺激法」。東洋医学の鍼治療に用いる細い針を筋肉が硬くなって痛みを生じえる部分にすばやく刺入し、すぐに抜去る方法で、北原医師が日本に紹介した。

2017年4月より東京慈恵会医科大学附属病院を辞して横浜市立大学附属市民総合医療センターに異動。

診療内容

ペインクリニック(pain clinic)は、痛み(pain)の診断・治療を専門とする診療科(clinic)だ。慢性や急性の痛みの原因を明らかにし、最適な治療プランを作成・実施して、痛みを治療する。
痛みをきたす疾病やケガは多い。整形外科や内科を受診して、痛みの原因が治療できるものであればその原因を取り除くような治療が行われるだろう。それで痛みが取れればいいのだが、実際には、痛みが消えず、慢性化して苦しんでいる患者は多いのではないかという。
「慢性の痛みを抱える患者さんのなかには、治療法を見直すことで、痛みから解放される場合もあるのです。ぜひ一度、ペインクリニックを受診してみてください」と北原雅樹医師は語る。
痛みを訴えると医師は通常「鎮痛薬」を処方するが、実際の診療の場面では、鎮痛薬が効かない痛みが沢山存在しているという。さらに、胃炎、胃潰瘍、子宮内膜症、メニエール症候群等々、実にさまざまな病気と「誤診」され、治療を受けても痛みが取れず、来院するケースが後を絶たないと北原医師は続けるのだ。
というのも、慢性の痛みは、いろいろな要因が何重にも絡み合って生じる“複雑系”。改善するには、痛みを起こしている“真犯人”を見つけ出す必要があるし、その犯人も単純に、1つの要因をなんとかするだけでは解決できない奥深さがあるのである。
そこで同ペインクリックでは、トリガーポイント療法、神経ブロック、薬物療法、運動療法、心理療法などを組み合わせて、治療を行う。また、大学病院の利点を生かし、必要に応じて神経内科、整形外科、精神科、リハビリテーション科など、他の専門科と密接に協力しながら痛みを解消へと導く。特に複雑な痛みには、様々な治療法を同時に行なわないと効果はでにくいのだという。
問診では「一番困っていることは何ですか?」に始まり、痛みについてはもとより、家族関係から仕事の内容、就労時間、家計に至るまで、細かく質問する。
「肩と腰の痛みがひどいと来院した女性の患者さんに話しを聞いてみると、認知症を患っている義理のお母さんの介護がつらいと言うのです。そんな状態では介護するのは無理だから、お母さんには施設に入ってもらってくださいと。日常的な介護から解放されるようにしたら、薬も手術もなしで、長年の痛みが治りました。単に痛みだけではなく、全人的に治療しなければ、本当のペインクリニックにはなりません」(北原医師)
こうした治療法は北原医師がワシントンで学んできた「オペラント条件付け認知行動療法」を基礎としたものだが、慈恵会医科大学の建学の精神である「病気を診ずして、病人を診よ」とも一致している。
無論、上述の女性患者のように、生活を変えただけで痛みが消える患者はそれほど多くない。北原医師が「多い」と実感しているのは「筋・筋膜痛」である。
「これは簡単に言うと、“慢性のひどい筋肉のコリ”です。筋肉のコリには、2~3日で治るもののほかに、場合によっては何年間も治らないものがあり、後者を筋・筋膜痛と呼びます。筋・筋膜痛は、時には全然関連のない病気とよく似た痛みを引き起こし、違った診断をつけられ、治療されることもあります。うちに来る患者さんには、ほかの病院で“典型的ではないけれど、たぶん●●病でしょう、と片付けられ、酷い場合には何回も手術を受けたという人もいます。すべてではありませんが」(北原医師)
北原医師が、筋・筋膜痛の治療法として多用しているのが「筋肉内刺激法」だ。解剖学の知識に基づいたトリガーポイント治療の一種で、北原医師が日本に紹介した。その方法は、東洋医学の鍼治療に用いる細い針を、筋肉が硬くなって痛みを生じえる部分(トリガーポインント)にすばやく刺入し、すぐに抜去るというもの。
「かなり痛い治療法ですが、筋肉の硬さが取れてくると痛みが劇的に少なくなります。また、手術などのように非可逆的ではありませんし、あくまでも一過性のものです。痛みを治療するために、手術を受けたり、電極を入れたり、多種多様な薬を長期的に服用するのに比べたら、その侵襲度ははるかに少ないでしょう」(北原医師)

医師プロフィール

1987年3月 東京大学医学部医学科卒業
1987年4月 帝京大学医学部附属市原病院麻酔科入局
1990年4月 帝京大学医学部附属溝口病院麻酔科助手
1991年9月 米国留学(Resident of Anesthesiology, University of Washington
Medical Center)
1992年7月 米国留学(Senior Fellow of Clinical Pain Service, University of
Washington Medical Center)
1996年8月 帝京大学医学部附属溝口病院麻酔科助手
1999年4月 帝京大学溝口病院麻酔科講師
2006年7月 東京慈恵会医科大学ペインクリニック診療部長、麻酔科講師
2009年4月 東京慈恵会医科大学ペインクリニック診療部長、麻酔科准教授
2017年4月 横浜市立大学付属市民総合医療センター ペインクリニック