牛田享宏 医師 (うしだたかひろ)

愛知医科大学病院

愛知県長久手市岩作雁又1-1

  • 痛みセンター
  • 部長

麻酔科 神経内科 ペインクリニック科

専門

慢性痛、運動器疼痛、脊椎脊髄病

牛田享宏

牛田享宏医師は日本の痛み治療をリードする存在。慢性の痛みに対して集学的な治療・研究を行う日本初の施設「愛知医科大学学際的痛みセンター」で陣頭指揮を執る。厚生労働省の「難治性疼痛の実態の解明と対応策の開発に関する研究」では班長を務めた。治療の特徴は多角的であること。運動器に対する理学療法,各種薬物療法(漢方を含む)、麻酔医とともに行う神経根ブロック療法、高周波パルス療法などを組み合わせるほか、精神科専門医、臨床心理士による精神・心理学的方法も含めた診療を行う。

診療内容

慢性の痛みには「患者数が多い既知の疾患に伴う痛み」(変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、関節リウマチなど)、「原因や病態が十分に解明されていない痛み」(線維筋痛症、脳卒中後疼(とう)痛など)「それ以外の痛み」(慢性頭痛、過敏性腸症候群など)がある。
牛田享宏医師率いる愛知医科大学学際的痛みセンターは、そうした痛みに対して集学的な治療・研究を行う日本初の施設である。
痛みが長引いて、慢性化する主な要因には、以下のものがある。
・病気や外傷によって生じた痛みを脳が記憶してしまう。
・痛みが伝わる神経にトラブルが起こり、「触る(触覚)」などの刺激や環境の変化などによるストレスが「痛み(痛覚)」として脳に伝わってしまう。
ただし、病気や外傷を負った人すべてに慢性の痛みが生じるわけではない。「不安・抑うつ」「性格・気質」「ストレス」などさまざまな要素が重なることで、痛みは長引きやすくなる。さらに、痛みがあるからと「安静」にしているのは逆効果。痛みがもっと増してしまう。また、家族や周囲の過剰な気遣いも、かえって痛みを慢性化させる要因になるという。本人や家族が「よかれ」と思ってしてきたことが仇になるというのだから、慢性痛の治療はむずかしい。その上痛みは慢性化するのに従い、心理的、社会的要因などが複雑に絡まり、悪化していくという。こうした慢性痛に対して、同センターは、「チーム医療」で立ち向かう。
精神科医や麻酔科医、整形外科医、理学療法士らが患者ごとに症例を検討し、投薬やカウンセリング、理学療法などの治療法を決める。治療の要は運動だ。
「動かなければ筋肉や関節が硬くなり、ますます活動できなくなる。いくら薬で痛みを抑えても、活動できなければ意味がない」と牛田医師は言う。
同センターにおける治療の目的は、痛みを完全に取り去ることではない。
「多少痛みがあっても自分なりの主体的な目的を持って、生き生きと暮らせるようになっていただくことが目標です。例えば何かの活動ができるようになるとか、痛みがあっても苦痛ではないということが大事ではないかと思っています」(牛田医師)
そうした目的を果たすために、同センターの「チーム医療」と並ぶもう1つの武器は、痛みセンターと運動療育センターが共同で開設する「慢性痛教室」。この教室では,痛みに対する知識,心理教育的側面からのアプローチと,自主的な身体運動を促す運動アプローチを併用して行う。労災患者を対象にした米国の同様の教室では、7割が職場復帰しているという。
2011年度から国は,厚生労働省指定研究として痛みの包括的な診療体制を考えるための「痛みセンター連絡協議会」を全国11大学と共同で設立し,専門的な観点から慢性の痛みの課題を整理し対応策を協議している。同センターは、その重要な拠点となっている。

医師プロフィール

1991年 高知医科大学卒業
1995年 高知医科大学大学院修了
1995年 テキサス大学医学部客員研究員
2001年 高知医科大学 医学部附属病院助手
2004年 ノースウエスタン大学(Visiting Scholar)
2004年 高知大学医学部附属病院講師(整形外科)
2007年 愛知医科大学医学部 学際的痛みセンター教授
2008年 高知大学医学部臨床教授(兼任)
2011年 運動器の10年日本協会理事
2012年 愛知医科大学医学部運動療育センター長(兼任)
現在に至る