受診するきっかけ 家庭の医学

 どんなときに医師の診察を受けたり、健康相談にのってもらうことがいいのでしょうか。あのとき医師に診てもらっていたら、とあとでいくら悔やんでも時すでにおそしです。

■いつもの異常とは違う
 一般的に若い人の身体的異常は、その症状が軽度の場合や短期間で症状が消える場合は、重い病気が隠れている可能性は少なく、一時的な身体不調や心身症的であることが多いので、しばらく経過をみてから受診してよいと思われます。しかし、中高年以上になると、なんらかの身体的異常で、その裏に思わぬ病気が隠れていることがあり、十分注意してしすぎることはありません。
 とりこし苦労かもしれませんが、一度医師に相談するという姿勢は、けっしてわるいことではありません。自分で感じてなにか変だ、いつものちょっとした異常とは違う、という感覚は、実はたいへん重要なサインです。痛みや不快感のため、吐き気や冷や汗があったりする場合は、必ず医師に診てもらうべきです。
 また、一瞬でも意識を失った場合は、たとえそのあと、なにもなくても一度は医師に診てもらわなくてはなりません。なんらかの症状が、それが何時何分何秒に始まった、と説明できるほど突然出始めた場合も、なんらかの重要な病気の可能性が大きいと考えるべきです。

■人から指摘されたとき
 いままで健康であった人が、急に体調に変化をきたしたとき、しばしば、本人はそれを認めたがらない傾向があります。家人など他人からみて、あきらかに異常とみえる場合は、その人の忠告に従いましょう。
 反対に徐々に進行する病気は、なかなか自分で気がつかないことが多く、人から指摘されてはじめて気がつくこともあります。人からみて変だといわれ、思い当たる原因がない場合は医師に診てもらうほうが賢明です。