吐血と喀血 家庭の医学

 吐血(とけつ)とは、食道、胃、および十二指腸から出血した血液を吐き出すことです。大量の吐血は出血性ショックになり死亡することがあります。また、吐血した血液が気道に入って窒息したり、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こしたりすることもあります。
 喀血(かっけつ)とは、気管、気管支、肺から出血した血液を喀出(かくしゅつ:吐き出すこと)することです。喀血では、吐血のように出血性ショックになるほどの大量出血はほとんどありませんが、血液が気管や気管支をふさいで窒息したり、重症の肺炎を起こすことが多く、やはり生命にかかわる症状です。
 表に吐血と喀血の原因となる病気・けがについて示しておきます。


■吐血のときの手当て
 吐き気があるときは、意識がしっかりしていれば洗面器などに吐かせます。当然のことながら、けっして飲食させてはいけません。
 吐き終えたら、横に寝かせるようにします。吐血の場合は、大量出血により血圧が下がっていることが多く、むりに立たせておくと、めまいをうったえたりして倒れてしまうことがよくあります。
 吐かせるときは、血液が気道に入ったりして窒息や誤嚥(ごえん)性肺炎を起こさないよう、ネクタイやシャツのボタンははずし、回復体位をとらせて吐かせ、吐いたあとも十分に注意して見守ってあげることが大切です。できるだけ早く、病院を受診するようにします。

■喀血のときの手当て
 喀血(かっけつ)では、血液が気管や気管支をふさいで窒息したり、重症の肺炎を起こすことが多いため、すぐに救急車を呼ぶことが大切です。
 救急車がくるまでの間、呼吸を楽にするため、衣服はゆるめ、横向きに寝かせ回復体位にします。そして、口の中にたまった血液は、すぐに吐き出させてください。喀血のときも、水を飲ませたりすることは厳禁です。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)