児童期・青年期の特徴 家庭の医学

 児童期や青年期にみられるこころの病気にはいくつかの特徴があります。まず、発達途上の時期にあり、障害が一時的なものに終わることが多いことです。
 次に、両親を主とする家族関係の影響を受けやすいことです。そして、成人の病気がそのまま出てくるのではなく、独特のあらわれかたをします。言語的な発達が十分でないために、行動面の障害としてあらわれることが多いのです。行動障害が強いと重症とみなされてしまうということも起こりがちです。
 また発達段階の一時期に障害が生じると、その時期の発達が遅れて結果的に知的障害と似たような状態になることがあります。このように、障害の2次的な影響を受けやすいのもこの時期の特徴です。
 児童期および青年期に起こるこころの病気の診断、治療、ケアなどは、児童精神医学にくわしい専門医や臨床心理士らがおこなっています。家族や学校と連携し地域社会で支えていくという視点が重要です。

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)
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