小児自閉症〔しょうにじへいしょう〕 家庭の医学

 3歳までに発病します。症状として、まず人への関心がなかったり薄かったりします。視線が合わない、抱っこされてもからだをあずけてこないなどです。コミュニケーションの障害もあります。ことばの獲得がわるかったり、独特のことばの使いかたをしたり、相手のことばをおうむ返しにしたりといった特徴があります。また、ものにこだわったりします。同じような手順で進まないとパニックを起こしたり、特定の動きや音に執着したりといったことです。
 病気の原因はよくわかっていません。かつては親の育てかたが問題にされたことがありましたが、現在は脳内の神経伝達物質レベルの異常ではないかと考えられています。
 治療は療育指導が中心です。行動療法のオペラント条件づけ、認知機能訓練などを用います。統合的な治療プログラムであるTEACCH(treatment and education of autistic and related communication handicapped children)と呼ばれる方法も用いられます。薬物療法が適用されることもあります。易刺激性に対してアリピプラゾールとリスペリドンが適用されます。

【参照】子どもの病気:小児自閉症

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)
医師を探す