鼻の病気の症状 家庭の医学

■鼻出血(鼻血)
 鼻出血は耳鼻科を受診する人のなかで多い症状です。はじめて出血したのはいつか、出血の頻度や1回に出る量、鼻をかゆがってよくいじっていないか、また、鼻閉や鼻漏(びろう)などの症状の有無、さらには高血圧や出血しやすい病気や内服の有無などが診断に有用な情報です。

■鼻閉(鼻づまり)
 鼻閉(びへい)は鼻の病気の多くで生じる症状です。

 鼻閉が持続するか一過性か、両側性か片側性か左右交互かに出現のパターンが分かれます。正常の場合でも日内変動といって、鼻の粘膜は数時間おきに腫脹(はれ)と収縮をくり返しているので、左右のどちらかはつまりやすくなっています。また就寝中、枕につけている側の鼻がつまるのも、鼻粘膜の血液循環の左右差のためで異常ではありません。子どもの場合、本人は鼻閉をうったえることが少なく、口呼吸が多い、夜間にいびきをかくということで親に気づかれることが多いようです。
 鼻閉は前鼻孔から鼻腔(びくう)、上咽頭(いんとう)に至る経路のいずれかで粘膜の腫脹、構造の異常、鼻茸(はなたけ)、鼻漏、腫瘍、異物が存在すると起こりうる症状です。

■鼻漏(鼻汁)
 本来鼻の粘膜は鼻汁によって湿潤しているのがふつうです。しかし鼻汁の分泌が過多になったり、粘りけをおびたり、色調が変化するとなんらかの病気を疑います。鼻汁のうち、後方にまわって咽頭に落ちるものを後(こう)鼻漏といいます。ふだんは無意識に飲み込んでいるのですが、量、性状が変わるとのどの違和感として感じることがあります。
 鼻漏は水様性(水のようにさらっとしている)、粘液性(粘っこい)、膿性(うみがまじり黄色)、血性(血液がまじる)に分類され、鼻の病気の種類に応じて変化します。


■くしゃみ
 くしゃみは、本来鼻に入ってきた異物を体外に排除する反応です。しかし、アレルギー性鼻炎などではその回数が極端にふえ、日常生活に支障をきたします。

■鼻声
 鼻腔は音声の共鳴器官であり、共鳴がうまくいかないと鼻声となります。閉鼻声(へいびせい)とは、かぜをひくとよく経験するように鼻閉に伴って起こるもので、開鼻声(かいびせい)とは、発声中の息が鼻腔に漏れることで起こり、フガフガした声となります。

■いびき、睡眠時無呼吸
 いびきは、睡眠中に鼻からのどにかけて物理的に狭い部分があると、そこを空気が通過する際に共鳴して起こる異常音です。
 いびきとよく合併する症状が睡眠時無呼吸です。眠りが浅くなるため寝ざめがわるい、昼間やたら眠いなどの症状だけではなく、不整脈高血圧の原因として注目されています。本人には自覚できないことが多いため、家族からの情報が診断をつけるうえで重要となります。

■嗅覚障害
 なんらかの原因によりにおいの感覚が落ちる現象を嗅覚(きゅうかく)障害といい、その程度により嗅覚脱失(まったくにおわない)、嗅覚減退(正常にくらべわるい)に分けられます。
 また、嗅覚過敏(においすぎて困る)や嗅覚錯誤(本来のにおいとは異なるにおいがする)といった症状もあります。症状の種類に加え、障害がいつから生じたかなどが診断にあたり重要なポイントになります。最近は障害が出てから1年以内であれば、治る可能性が高いといわれています。

■痛み
 病気により、鼻翼(びよく:小鼻)、前鼻孔、鼻根部(鼻の付け根)付近が痛むことがあります。また、ほおや前頭部(おでこ)、目の奥が痛むという場合もあります。痛みまではいかないが、なんとなく重い感じがするという場合も少なくありません。

■目の症状
 鼻や副鼻腔は解剖学的に目に接した位置にあるため、特に副鼻腔の病気が種々の目の症状として発症する場合があります。目の周囲のはれや痛み、眼球自体が飛び出している、ものが二重に見える、視力が落ちるなどの症状が副鼻腔の病気に伴っている場合があり注意が必要です。
 通常、涙は涙嚢(るいのう)から鼻涙(びるい)管を通って鼻に流れてきますが、鼻や副鼻腔の病気のために鼻涙管がつまってしまうと流涙(涙目)をきたすことがあります。

■外形の変化
 さまざまな外傷により鼻のかたちが変形することがあります。鼻根(びこん)部が平らになっているものを鞍鼻(あんび)、鼻筋がまっすぐでなく曲がっているものを斜鼻といいます。これらは程度により形成外科的な手術が必要となります。鼻または副鼻腔の病気のなかには、頬(きょう)部や前頭部がはれてしまうものがあります。

医師を探す