呼吸機能検査(スパイログラム) 家庭の医学

 呼吸機能検査は呼吸器に関する病気の性質や病状を調べるのに必要な検査です。肺活量や1秒量を測定するスパイロメトリーや、体内の酸素や二酸化炭素の状態を知るための動脈血ガス分析、指先でおこなうことの多い酸素飽和度測定などが一般的におこなわれています。スパイロメトリーはスパイロメーターという装置で検査し、その結果を図にあらわしたものをスパイログラムといいます。
 肺活量は、肺の中に吸うことのできる最大の空気量をあらわしており、間質性肺炎(肺線維症)などで肺が硬くなる病気では、肺の容積が減少するために肺活量は低い値となります。

 いっぽう、1秒量は1秒間に吐き出すことのできる空気の量で、気管支の太さをあらわしています。ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などで気管支が細くなると、1秒量は低下します。そのほかに、COPDでは肺の奥にある末梢気道が細くなりますが、これらの領域の異常を検出するためにフローボリューム曲線を描きその形状から判断します。

 肺は体内に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する重要なはたらきをしています。これをガス交換といいますが、その状態を調べるためには肺拡散能(DLCO)を測定する検査法があります。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 准教授〔呼吸器内科学〕 塩田 智美)