胸膜中皮腫〔きょうまくちゅうひしゅ〕 家庭の医学

 胸腔の内腔を覆う中皮細胞から発生した悪性腫瘍です。

[原因]
 胸膜中皮腫の60~80%の患者に石綿(アスベスト)の曝露(ばくろ)歴があり、中皮腫発生とアスベスト曝露の関連が疫学的にあきらかになっています。

[症状][診断][治療]
 胸膜に沿って腫瘍が進展すると、胸痛や呼吸困難が出現します。さらに倦怠(けんたい)感、寝汗、胸水の貯留などがみられます。
 胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査で胸膜に沿った腫瘍を確認し、胸膜の生検により組織を採取し病理学的に診断します。一側の胸膜のみに腫瘍が限局していれば、外科的切除術が考慮されますが、手術単独での治療成績は不良であり、内科的化学療法との併用療法が推奨されています。また近年では、免疫チェックポイント阻害薬も使用されています。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 准教授〔呼吸器内科学〕 田島 健)
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