術後逆流性食道炎〔じゅつごぎゃくりゅうせいしょくどうえん〕 家庭の医学

[症状]
 胃の一部または全体を切除する手術を受けたあと、胆汁や膵(すい)液などの刺激性の強い消化液が容易に食道へ逆流し、胸やけ、咽頭痛、胸痛といった症状をひき起こすことがあります。この状態を術後逆流性食道炎といいます。

[治療]
 生活習慣の改善が基本となります。具体的には、就寝前の1~2時間は飲食を避けることや、寝る際に頭をすこし高くして寝ることが症状の軽減に役立ちます。便秘があると腹圧が上がり、逆流を悪化させる可能性があるため、便秘を防ぐことも重要です。
 症状が強い場合には、以下の薬剤が使用されることもあります。
●プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウム競合型酸分泌抑制薬(P-CAB)
 胃酸の分泌を抑えることで症状を軽減します。
●カモスタットメシル酸塩(たんぱく分解酵素阻害薬)
 胆汁や膵液による刺激を抑える作用があります。

【参照】食道の病気:逆流性食道炎

(執筆・監修:自治医科大学医学教育センター 医療人キャリア教育開発部門 特命教授/東北大学大学院医学系研究科 消化器病態学分野 准教授 菅野 武)
医師を探す