糖尿病(性)神経障害〔とうにょうびょう(せい)しんけいしょうがい〕 家庭の医学

 多発神経障害と単神経障害があります。多発神経障害には、感覚神経障害と自律神経障害があります。網膜症や腎症よりも早くあらわれる合併症であり、多くの糖尿病患者にみられます。
 感覚神経障害は末梢神経障害としてあらわれ、下肢に足先のしびれ、冷感、ジンジンする痛みなどであらわれることが多く、遠位部(足先)から左右対称性にみられます。
 自律神経は自動的にはたらいている臓器のはたらきなどを調節する神経で、その障害によって起立性低血圧(立ちくらみ)、排尿障害(膀胱〈ぼうこう〉機能の障害による)、下痢、便秘、胃腸障害、勃起(ぼっき)障害、発汗異常など多彩な症状が起こります。心筋梗塞を起こしても自律神経障害があると無痛性となりやすくなります。
 単一神経障害は、頻度は多くありませんが、顔面神経まひ、動眼神経まひ、外転神経まひなどとしてあらわれます。
 末梢神経障害の検査には、膝蓋腱(しつがいけん)やアキレス腱反射の減弱・消失の有無、振動覚、神経伝導速度などがあります。
 治療には、血糖管理が重要ですが、そのほかアルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット)やビタミンB12製剤などが用いられます。

(執筆・監修:東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長/東京女子医科大学 特任教授 内潟 安子)
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