糖尿病 家庭の医学

 糖尿病には、インスリンの分泌機能の障害によって起こる1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)と、インスリン受容体の感受性低下によって起こる2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)があります。中年以降に発症する糖尿病のほとんどは後者です。症状としては、高血糖による症状と特に症状がないまま進行する慢性の合併症にもとづく症状があります。
 高血糖による症状としては、多飲・多尿、口渇、昏睡(こんすい)、やせなどがみられます。慢性的な糖尿病の合併症としては、全身の血管に動脈硬化が起こり、脳卒中や心筋梗塞が起こりやすくなったり、下肢の血管に動脈硬化が強く起こると血液が流れにくくなり、歩くと足が痛んだり、下肢が壊死(えし)におちいったりします。また、心臓のはたらきが低下して、心不全も起こしやすくなります。
 そのほかに網膜症によって視力が低下したり、失明したり、腎不全が起こったり、神経痛、知覚まひ、立ちくらみが起こります。このような合併症は、はじめは無症状のまま進行することが多く、症状があって糖尿病と診断された段階でかなり進行しており、治療が手遅れになってしまうことも起こりえます。

■養生のポイント
 ふとりすぎて糖尿病にならないようにするために、標準体重を守ることが大切です。ただし、肥満がなくても体質的に糖尿病が発症することは十分ありうるので、定期的に健康診断を受け、早期に発見するように心掛ける必要があります。また健康診断においても、1回だけの採血では軽い糖尿病は見逃される可能性がありますので、ぶどう糖負荷試験など精密検査を受けたほうがよいと思われます。
 糖尿病になった場合には、主治医に指導してもらい、食事療法、運動療法、薬物療法を一生続ける必要があります。

■定期健診
 糖尿病は自覚症状がないままに進行して、自覚症状が出たときには重症化していることが多い病気です。このため定期的に健康診断を受け、早期発見につとめることが大切です。
 通常は空腹時血糖やグリコヘモグロビンの測定で診断が可能ですが、時にぶどう糖負荷試験が必要になることもあります。

【参照】内分泌・代謝異常の病気:糖尿病糖尿病の運動療法

(執筆・監修:自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学第1講座 主任教授/循環器内科 教授 藤田 英雄)