糖尿病(性)腎症〔とうにょうびょう(せい)じんしょう〕

 高血糖の持続によって、腎臓の重要な濾過(ろか)機能を担っている糸球体が障害され、たんぱく尿が出現し、やがて腎機能が徐々に低下して、血清クレアチニンの上昇、さらに腎不全へと進行する病気です。糖尿病(性)腎症の病期は、尿たんぱくの程度や糸球体の濾過機能の低下の程度により表のように分類されています。

●糖尿病性腎症の病期分類(1991年度厚生省研究班)
病 気臨床的特徴病理学的特徴
(参考所見)
備 考
(提唱されている治療法)
尿たんぱく(アルブミン)GFR
(Ccr)
第1期
腎症前期
正常正常
ときに高値
びまん性病変なし~軽度血糖コントロール・降圧治療・脂質管理・禁煙
第2期
早期腎症期
微量アルブミン尿正常
ときに高値
びまん性病変
結節性病変
軽度~中等度
ときに存在
血糖コントロール・降圧治療・脂質管理・禁煙
第3期
顕性腎症期
持続性たんぱく尿ほぼ正常~低下**びまん性病変
結節性病変
中等度~高度
多くは存在
適切な血糖コントロール・降圧治療・脂質管理
禁煙・たんぱく質制限食
第4期
腎不全期
持続性たんぱく尿著明低下
(血清クレアチニン上昇)
末期腎症適切な血糖コントロール・降圧治療・脂質管理
禁煙・たんぱく質制限食・貧血治療
第5期
透析療法期
透析療法中適切な血糖コントロール・降圧治療・脂質管理
禁煙・透析療法または腎移植・水分制限
第1期
腎症前期
正常正常
ときに高値
びまん性病変なし~軽度血糖コントロール・降圧治療・脂質管理・禁煙
*GFR(Ccr):糸球体ろか率(クレアチニンクリアランス)…腎臓のはたらきを示す検査値で低下は腎臓のはたらきが低下していることを示す
**:持続性たんぱく尿約1g/日以上、GFR(Ccr)約60ml/分をめやすとする


 糖尿病(性)腎症も早期発見・早期治療が重要であり、早期発見には尿中アルブミンの検査(微量アルブミン尿の検出)が役立ちます。腎症の予防と治療には、血糖コントロールのみならず、血圧のコントロールが重要です。顕性腎症期になると、血糖コントロールとともに降圧治療、たんぱく制限食が必要です。慢性腎不全の状態になれば、やがて人工透析が必要となります。
 新規に透析に導入される腎疾患の第1位は腎炎でしたが、1998年には、はじめて糖尿病(性)腎症が第1位となりました。


【参照】腎臓・泌尿器・男性性器の病気:糖尿病腎症
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