蚊やダニに刺されたとき

 おもな蚊媒介感染症には、ウイルス性疾患のチクングニア熱ジカウイルス感染症ウエストナイル熱黄熱デング熱日本脳炎、原虫疾患のマラリアがあります。日本ではデング熱と日本脳炎の国内感染が報告されていますが、他の感染症は海外からの輸入感染症と考えられています。
 おもなダニ媒介感染症には、クリミア・コンゴ出血熱回帰熱重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ダニ媒介脳炎つつがむし病日本紅斑熱があります。最近では、オズウイルスによる心筋炎死亡例の報告がありました。
 上記の感染症で有効な抗微生物薬が存在するのは、マラリア、回帰熱、つつがむし病、日本紅斑熱のみです。したがって、蚊やダニに刺されないよう予防することが大切です。
 マダニはヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から10日以上も吸血します。山にハイキングに行った際などに、刺されることがあります。しかも刺されて吸血されたことに気がつかないことも多いといわれています。吸血中のマダニを認めたら、医療機関で処置してもらうのが賢明です。そしてマダニに刺されたあと、数週間程度は発熱などの体調変化に注意しましょう。


《参考文献》
蚊媒介感染症」厚生労働省
ダニ媒介感染症」厚生労働省

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)