輸入感染症

 国内での自然感染がなく、海外で感染し国内に持ち込まれる感染症のことを輸入感染症といいます。
 一類感染症は国内にその原因となる病原体は存在せず、発生した場合はすべて輸入感染症ということになります。二類感染症のなかでは、生ワクチンによる2次感染例がみられていたポリオも、不活化ポリオワクチンに切り替えられた現在では国内発生例はなくなりました。近年、結核以外の二類感染症の国内での発生例はなく、三類感染症のコレラも国内には存在しません。
 しかし、赤痢ジフテリア腸チフスなどは発生することがありますし、腸管出血性大腸菌感染症は、毎年かなりの感染者が出ています。四類感染症のなかで最近国内感染例がないものとしては、黄熱狂犬病マラリアBウイルス病などがあげられます。
 しかし、交通機関の発達により、短時間で地球上のどの国からでも日本に来ることができる時代となり、いつ海外から日本にない感染症が持ち込まれるかわからないので人や荷物、動・植物の検疫が必要です。
 また、日本から感染症を輸出しないようにする注意も必要です。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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