感染性胃腸炎
- 解説
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感染性の胃腸炎としてはコレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌感染症(三類感染症)のほか、アメーバ赤痢、クリプトスポリジウム症、ジアルジア症(以上五類全数報告疾患)などもありますが、感染症法では、これらを除く感染性の胃腸炎を感染性胃腸炎としてひとまとめにして定点病院による報告を求めています。その場合の感染性胃腸炎には、ウイルス性胃腸炎とかサルモネラ症、腸管出血性大腸菌以外の病原性大腸菌による下痢症、細菌性の食中毒、寄生虫症の一部などが含まれます。
感染経路はほとんどが経口(接触)感染で、症状としては吐き気・嘔吐(おうと)と下痢・腹痛で、しばしば発熱もみられます。ウイルス性胃腸炎はロタウイルス、ノロウイルス、腸管アデノウイルスなどの感染により発症し、またロタウイルスによる胃腸炎は冬季に乳幼児によくみられます。
治療法は原因微生物によって異なりますが、下痢や嘔吐が続く場合は、水分と電解質の補給が大切です。
(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)