クリプトスポリジウム症〔くりぷとすぽりじうむしょう〕

 クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)という原虫のオーシスト(動物の糞便中に排泄される休止状態の原虫)を経口摂取することにより起こる人獣共通感染症です。クリプトスポリジウムはウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管に寄生する原虫として知られていましたが、人での感染は1976年にはじめて報告されました。1980年代に入ってからは、後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)での致死性下痢症の病原体として注目され、その後、健常者においても水様下痢症の原因となることがあきらかとなりました。国内でも水道水を汚染源とする大規模な集団感染の事例が報告されています。
 潜伏期は3〜10日で、免疫の正常な人が罹患した場合の臨床症状は、下痢(おもに水様下痢)、腹痛、倦怠(けんたい)感、食欲低下、悪心などであり、数日から2〜3週間の経過で自然治癒しますが、前述のとおり、AIDSなどの免疫不全宿主では重症・難治性・再発性・致死性下痢症を起こします。
 集団下痢症が発生した際に通常の病原体が検出されない場合には、本症の可能性を念頭において検査を進める必要があります。確定診断は、便、生検組織、十二指腸液、胆汁、膵(すい)液からの鏡検(顕微鏡で見ること)による原虫(オーシスト)の証明、病原体遺伝子の検出によりおこないます。クリプトスポリジウム症

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