サルモネラ食中毒〔さるもねらしょくちゅうどく〕 家庭の医学

 サルモネラ菌に属する菌種は多数ありますが、病原性の強いチフス菌(Salmonella Typhi)、パラチフスA菌(Salmonella Paratyphi A)による腸チフスパラチフスは別扱いとなっていて、これら以外のサルモネラ菌による感染症は、非チフス性サルモネラ症と呼ばれています。その代表がサルモネラ食中毒で、日本では近年増加傾向にあります。
 かかりやすいのは子どもですが、大人でも要注意です。経口感染後、腸で繁殖し毒素をつくりだします。
 潜伏期は12時間~2日程度です。発熱と吐き気・嘔吐(おうと)、腹痛、下痢、粘血便などの急性胃腸炎の症状が強くあらわれます。下痢の回数も多く、重症感があります。水分補給が大切です。
 治療にはキノロン系抗菌薬が効果があります。多発するのは夏季で、食肉や鶏卵は加熱して食べるようにします。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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