先天性心疾患
- 解説
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先天性心疾患の頻度は、生まれてくる子どもの約100人に1人(1%程度)といわれています。これらのうち治療の必要のないものもあり、薬もしくは手術の治療を受ける割合は、さらに少ないと見積もられています。
先天性心疾患は、心臓が胎内でかたちづくられる際に、ある段階で発育や各部位のつながりかたが通常とは異なることによって生じます。かたちの異常が極端で、そのままでは生後長く生きていることができないものもあれば、かたちの違いをもったまま成人に達するものまでさまざまな場合があります。
なぜ、先天性心疾患が発生するかはあきらかにはなっていませんが、一部には遺伝子や染色体の異常がわかっているもの、全身の病気の一部として発症するものがあることが知られています。
子どもの病気と思われがちですが、成人になって治療を受ける人や子どものころに治療を受けて成人まで医療を受け続ける人、成人先天性心疾患と呼ばれる人々がふえているのが最近の医療事情の変化となっています。
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 小児循環器科 部長 矢崎 諭)