新型コロナウイルスワクチンを巡り、副反応事例が明らかにされず十分な治療を受けられなかったなどとして、接種後に死亡した人の遺族や後遺症が出た患者ら13人が17日、国に計約9100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 訴状によると、原告はワクチン接種後に死亡した8人の遺族と後遺症患者5人。いずれも予防接種健康被害救済制度に基づき、死亡や後遺症は接種によるものと認定されている。
 原告側は、国がワクチン接種を強く呼び掛ける一方、副反応や後遺症についてほとんど発表していなかったため、接種について判断するための十分な情報が与えられなかったと主張。後遺症の適切な治療を受けることもできなくなったとした。
 39歳で死亡した男性の遺族は同居していなかったために死亡給付金を受けられず、現行制度は不合理だとも訴えた。
 記者会見で、河野俊弘さん=当時(55)=を接種2日後に亡くした妻の明樹子さん(60)は「夫は無念だったと思う。接種前の情報は不十分で、国は責任を取ってほしい」と話した。
 厚生労働省の話 訴状を受け取っておらず、コメントは控えたい。 (C)時事通信社