熱中症のリスクが高まった際の一時避難場所として、各地の自治体が冷房を備えた「クーリングシェルター」の確保を進めている。住民に身近な公民館やスーパーなどをシェルターに指定。24日に運用が始まった新たな警戒情報「熱中症特別警戒アラート」の発表時に開放を求める。
 2018年に国内最高気温となる41.1度を観測した埼玉県熊谷市は夏場に、市役所や公民館などに一時的な休息所「まちなかオアシス」を開設している。体調が優れない市民には冷却剤や飲料水が入った応急セットを配布。暑さから市民を守ろうと、11年から始めた取り組みで、年間の平均利用者数は約1500人。市担当者は「今では市民に広く浸透している」と強調する。
 市は、まちなかオアシスとして利用してきた公共施設のうち13カ所をクーリングシェルターとして今年6月から運用する。スーパーのイートインスペースなど、市内の民間施設10カ所以上もシェルターに指定する方針だ。
 東京都墨田区は11年から、熱中症にかかりやすい高齢者が気軽に立ち寄れる社会福祉会館や集会所などを「涼み所」として周知してきた。今年も6~9月まで開設する予定で、クーリングシェルターにも指定する。
 これとは別に区は昨年6~9月、区薬剤師会と連携し、区内の薬局計31カ所を一時的に涼める場所として開放。薬剤師が薬を受け取りに来た高齢者らに熱中症予防に関する助言を行った。今年も実施する方針で、担当者は「医療の知識を持つ薬剤師がいて、区民からは安心感があるとの声が寄せられた」と話す。
 熱中症特別警戒アラートは、過去に例のない危険な暑さで健康に重大な被害が出る恐れがある場合、環境省が都道府県単位で発表する。従来の「熱中症警戒アラート」の一段上に位置付け、冷房が利いた室内で過ごすことや、水分の補給などを呼び掛ける。
 同省によると、23年度にシェルターを開設したのは139自治体。同省幹部は「自治体にはより多くのシェルターを指定してほしい。夏に向けて準備が本格化するのでしっかり支援する」と話した。 (C)時事通信社