米・University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのTina Cascone氏らは、切除可能なⅡA~ⅢB期の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、ニボルマブと化学療法を併用する術前補助療法+ニボルマブ単剤の術後補助療法を行う群(ニボルマブ併用群)と、化学療法とプラセボを併用する術前補助療法+術後にプラセボを投与する群(化学療法単独群)の有効性および安全性を検討した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験(RCT)CheckMate 77Tの中間解析を実施。化学療法単独群と比べ、ニボルマブ併用群は無イベント生存(EFS)が有意に良好だったN Engl J Med2024; 390: 1756-1769)に発表した。(関連記事「ニボルマブの適応追加申請をFDAとEMAが受理」)

化学療法単独と比べ18カ月イベント発生リスクが42%低下

 Checkmate 77T試験では、全身状態(ECOG PS)が0~1で上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異またはALK融合遺伝子なし、がん全身治療歴がない切除可能なⅡA~ⅢB期の成人NSCLC患者461例(年齢中央値66歳)を登録。①術前補助療法として化学療法(プラチナダブレット)+ニボルマブ360mgを投与し、術後補助療法としてニボルマブ480mgを投与するニボルマブ併用群(229例)、②化学療法単独群(232例)に1:1でランダムに割り付けた。両群とも、術前補助療法を3週間隔で4サイクル実施後、6週間以内に切除術を実施し、術後90日以内に術後補助療法を開始して4週間隔で1年間継続した。

 術前補助療法の完遂率はニボルマブ併用群で84.7%、化学療法単独群で88.4%、術後補助療法の完遂率はそれぞれ37.1%、39.7%だった。

 事前に規定された中間解析の時点(追跡期間中央値25.4カ月)において、主要評価項目とした盲検下独立判定による18カ月EFSは、化学療法単独群の50.0%に対しニボルマブ併用群では70.2%と有意に良好だった〔病勢進行・再発・手術中止・死亡のハザード比(HR)0.58、97.36%CI 0.42~0.81、P<0.001〕。

 サブグループ解析では、ニボルマブ併用によるEFS延長効果はPD-L1発現が1%以上の群で顕著だった(HR 0.52、95%CI 0.35~0.78)。

pCRは5倍超の25.3%、全体的な安全性は同等

 副次評価項目とした盲検下独立判定による病理学的完全奏効(pCR)の達成率は、化学療法単独群の4.7%に対しニボルマブ併用群では25.3%と5倍超だった〔群間差20.5%ポイント、95%CI 14.3~26.6%ポイント、オッズ比(OR)6.64、95%CI 3.40~12.97〕。同様に病理学的奏効(MPR、残存生存腫瘍10%以下)の達成率も、化学療法単独群の12.1%に対しニボルマブ併用群では35.4%と良好な成績だった(群間差23.2%ポイント、95%CI 15.8~30.6%ポイント、OR 4.01、95%CI 2.48~6.49)。

 全体的な安全性プロファイルは両群で同等で、グレード3/4の治療関連有害事象はニボルマブ併用群の32.5%、化学療法単独群の25.2%に発現した。発現率が最も高かったものは好中球数減少だった(ニボルマブ併用群10.1% vs. 化学療法単独群6.5%)。

 以上の結果から、Cascone氏らは「切除可能NSCLC患者において、ニボルマブを用いた術前・術後補助療法は化学療法単独と比べてEFSを有意に延長し、新たな安全性シグナルは認められなかった」と結論している。

太田敦子