投球動作を繰り返すことで起きる「野球肘」を、人工知能(AI)を使った画像診断で高精度に検出するプログラムを、京都府立医科大と兵庫県立大の研究チームが開発した。最高97%の精度で検出可能といい、1年程度で診断機器を開発し、実用化を目指す。論文は5月、米国の整形外科専門誌に掲載された。
 野球肘は「離断性骨軟骨炎」と呼ばれる症状の一つで、過度の投げ込みなどにより肘関節内の軟骨がはがれ落ち、可動域の制限や痛みが生じる。初期段階では症状がほとんど現れないため、気付いた時には悪化していて、手術が必要になるケースが多いという。
 別の調査によると、野球をする中高生の1.6~3.4%が野球肘を抱えている。しかし、超音波検査で初期の野球肘を発見することが重要になるが、検診の頻度は年1回程度にとどまる上、診断できる専門医も不足しているという。
 研究チームは超音波検査の画像から肘関節表面を自動検出し、野球肘かを診断するAIプログラムを開発。専門医が持つ大量の画像データを学習させたところ、最高97%の精度で検出できたという。
 研究チームの京都府立医科大大学院の木田圭重助教(整形外科)は「診断機器が実用化できれば、専門医でなくても診断できるようになって検診の機会が広がり、早期発見、回復につながる」と話している。 (C)時事通信社