こども家庭庁は、市区町村が出産直後の母子に対して心身のケアや育児の支援を行う「産後ケア事業」の指針を改定する。里帰り出産のため、一時的に実家などに身を寄せる産婦や、流産・死産を経験した人も対象とする考え方を新たに明記。近隣自治体で連携して事業を行う際は、都道府県が調整役を担うことも盛り込む。意見公募を経て、9月以降に新指針を示す。
 政府は2023年度から、産後ケア事業の対象を「産後に心身の不調および育児不安などがある者」から「産後ケアを必要とする者」に改め、誰でも平等にサービスを受けられることを明確化。単独での事業実施が難しい自治体がある点も踏まえ、指針を見直す。
 里帰り出産をしている産婦を巡っては、住民票がある自治体と連携した上で、里帰り先の自治体も対応することが望ましいと強調。流産・死産の経験者は、他の家庭の乳児がいる場所でケアを行うと精神的な負担を感じる恐れがあるため、居宅訪問型で実施するといった配慮を呼び掛ける。
 都道府県の役割に関しては、複数の自治体で広域的に事業を行う際、委託契約をまとめて調整するのが望ましいと明記。必要となる精神科医らを確保するため、都道府県や市区町村、医療機関などを交えた地域内の連携体制を積極的に構築することを促す。
 また、産後ケアの内容も具体的に示す。(1)保健指導、栄養指導(2)心理的ケア(3)適切な授乳ができるようになるためのケア(4)おむつ交換など育児に関する具体的な指導と相談―を組み合わせた対応を求めるほか、産婦の状態に応じた個別のケアプラン作成を推奨する。 (C)時事通信社