少子高齢化が加速し、年金や医療、介護に必要な費用が増える中、支え手となる現役世代の負担軽減をどう図るかが大きな課題だ。高齢者の負担増を含めた制度改革にどこまで踏み込めるか、石破茂首相の手腕が問われる。さらに子育て支援策や公的年金の制度改正への対応も求められる。
 現役世代の保険料負担軽減に向け、前政権では75歳以上で医療費窓口負担が3割となる対象者の拡大が検討された。首相は自民党総裁選で「医療費の適正化」を掲げたが、高齢者の負担増には言及していない。今後、どれだけ具体的な改革案を示せるかは不透明だ。
 子育て支援策を巡り、首相は「手当より無償化」との方針を表明し、支援の在り方を見直す考えを強調した。人口減少対策として、結婚支援にも取り組む考えで、実効性がある対策が打ち出せるかも焦点となる。
 政府が検討している5年に1度の年金制度改正では、厚生年金が適用されるパート労働者の範囲拡大や、一定以上の賃金がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」の見直しが主要テーマだ。現役世代や高齢者に加え、企業も関わるだけに、意見調整は難航が予想される。
 マイナンバーカードと健康保険証の一体化について、首相はこれまでの政府方針を引き継ぐ見通し。現行保険証の新規発行は12月で終了するが、国民の不安払拭に向けた丁寧な説明が欠かせない。 (C)時事通信社