日本心臓財団、日本循環器協会、日本循環器学会、日本AED財団の共催による「健康ハート・シンポジウム2024」が9月29日、仙台市とウェブでハイブリッド開催された。このシンポジウムは、日本心臓財団が提唱する健康ハートの日(8月10日)の前後に実施している市民向けの心臓病予防啓発イベントの1つ。今年(2024年)は「スポーツがもたらす健康ハート」をテーマに、スポーツを通した心臓の健康を呼びかけた。(関連記事「AEDショック実施率4%、69万台を使いこなせ!」)
心不全、不整脈、心筋梗塞の予防ポイントを示す
今回のシンポジウムは専門医による講演と、元サッカー日本女子代表の澤穂希氏らを交えた対談・パネルディスカッションが行われた。専門医による講演では、代表的な心疾患である心不全、不整脈、心筋梗塞を予防するためのポイントが示された。
奈良県西和医療センター総長の斎藤能彦氏は、心不全に対する一般の人々の認知度が低いことを憂慮し、「心不全はがんより予後が悪い。心不全で入院した患者の5年生存率は約50%」と注意喚起した。その上で、「心不全は進行性の病気で治癒することはないが予防は可能」と強調。①高血圧など心臓病の危険因子未保有段階からの生活習慣改善、②危険因子保有後の薬物療法の併用、③心臓病発症後は心不全の症状がなくても検査を受け、心不全を早期診断する―と各段階での予防ポイントを解説した。
日本AED財団理事長の三田村秀雄氏は、不整脈の代表的な症状は動悸、息切れだが、無症状のケースも多いと指摘。心房細動による脳塞栓症、心室細動による突然死に注意を促した上で、「心停止を起こした人に出会ったら、迷わず自動体外式除細動器(AED)による救急措置に力を貸してほしい」と呼びかけた。
東北大学循環器内科教授の安田聡氏は、心筋梗塞の原因となる動脈硬化を予防するための7カ条として、①適度に体を動かす生活、②血糖値を正常に保つ、③健康的なコレステロール値の維持、④血圧管理、⑤標準体重の維持、⑥健康的な食習慣、⑦禁煙―を提案した。
「"心活"で健康ゴール!」
今回のテーマ「スポーツがもたらす健康ハート」には"心活"が含意されている。心活とは心臓病にならないよう、自分の体調や生活習慣を見直し、心臓によい活動を行うという意味の造語。専門医各氏が強調した心臓病予防を実践する上で、心活は重要な手段となる。
澤氏を交えたコーナーでは、同氏のアスリートとしての経験や生活習慣を通じて、「"心活"で健康ゴール!」のメッセージが発信された。同氏は引退後も、食生活や睡眠に気を付けるとともに、毎日6~10km走っており、日常生活の隙間時間を利用したスクワットなども心がけているという。
(編集部・平田直樹)