藤波匠・日本総合研究所上席主任研究員の話 なぜ若い人たちが結婚・出産を選択せず、少子化が進むのか論理的に理解した上で政策を打つことが重要となる。政府は児童手当で多子世帯を優遇しているが、そもそも第1子の出産にたどり着けない人が多いので、そちらを手厚く支援すべきだ。
多くの政党が掲げる高等教育費の無償化は、将来的に目指すのはいいと思う。しかし、大学の無償化だけでも年3兆円規模の予算が必要で、実現にはかなり時間がかかる。まずは奨学金返済の軽減などにより、結婚を考える低所得の若い世代を直接支えるべきではないか。
少子化に歯止めをかけるには、保育や育児休業といった子育て環境を地道に整えることと、景気改善による賃上げの両輪が必要だ。女性の負担が大きいのも、結婚・出産を踏みとどまる要因となっており、男女で共に家庭と家計を支える社会を目指す必要もある。
対策の財源を巡る議論は乏しい印象だ。支援金制度は、国民から広く薄く徴収して分配する仕組みだが、低所得層の負担感が増す恐れがある。 (C)時事通信社
環境整備と賃上げの両輪で=藤波匠・日本総合研究所上席主任研究員【24衆院選】
(2024/10/21 07:04)