防災メディカルDr.純子のメディカルサロン

東日本大震災から8年の現状と国の復興体制を考える 久保田崇・立命館大教授(元陸前高田市副市長)

 ◇復興庁の機能はむしろ強化すべき

 このような中、復興庁は2月で12年の発足から7年を迎えましたが、同庁は2年後の21年3月末が法律に定められた設置期限となっています。

 政府は3月8日の閣議で「東日本大震災からの復興の基本方針」を改定し、復興庁の後継組織設置を決定しましたが、復興庁の機能を福島対応などに縮小して内閣府に移管するだけの可能性があります。私はむしろ、強化すべきではないかと考えます。

岩手県大船渡市の大船渡駅周辺地区の新しい市街地を臨む。官民協働してのエリアマネジメントが評価され「日本まちづくり大賞」(2017年)などを受賞している(大船渡市提供)

 復興庁の今後については、3月8日にYahoo!ニュースに寄稿したので繰り返しませんが、要点は次の通りです。

 (1)2年後の期限にこだわらず、仮設住宅居住者が残る限り復興庁は残すべきである。

 (2)復興庁と内閣府の防災部門等を統合して「防災省」を常設すべきではないか。

 (3)「防災省」に省庁や全国の自治体から職員を集め、災害発生時に被災地に派遣してはどうか。


 ◇「防災省」新設が必要な理由

 3月11日付の朝日新聞は社説で「防災省」の新設を主張し、その第1の理由として、専門的な人材の確保、育成を挙げましたが、まさに私の主張とも重なります。間もなく、平成という時代が終わりますが、記憶に新しい昨年も含めて、災害が多発しました。

 被災自治体では、十分に指示もできない(する暇がない)ことが多いので、自分で動ける職員を求めています。その意味で、過去に災害対応経験があったり、復興庁(防災省)で防災業務経験がある職員を派遣することが、災害対応力の強化につながるのではないでしょうか。

 冒頭の楢葉町の男性が述べた「あの日たくさんのものを失い、あの日からたくさんのものを得た」は、国や自治体の防災機能や災害対応力についても、そうあってほしいものです。それこそが、震災で犠牲になった方々へ、私たちがなし得る報告だと思うのです。

(文 久保田崇)
 久保田 崇(くぼた・たかし)

 1976年静岡県掛川市生まれ。京都大卒。内閣府に入り、英ケンブリッジ大でMBA取得。東日本大震災後の陸前高田市で副市長を4年間務めた(2011-15年)。日本心理カウンセラー協会正会員。16年から立命館大公共政策大学院教授。著書に「官僚に学ぶ仕事術」「官僚に学ぶ読書術」など。

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