教えて!けいゆう先生

風邪は病院に行くべき?
早めの受診にメリットがない理由

 病院には大勢の患者さんが「風邪を早く治したいから」という理由で風邪の「ひき始め」を狙って来られます。実は私たち医師の立場から見れば、風邪での早めの受診は、患者さんにとってデメリットが大きいと感じます。なぜでしょうか。その理由を説明します。

風邪のひき始めに最も効果的なのは?

 ◇風邪薬のメリットは少ない

 風邪をひいたら「早めの段階で病院にかかって手を打っておきたい」という方は多いと思います。仕事が忙しいのでなるべく休みたくない。学校で大事なイベントがあるので早めに受診して治したい。そんな方も多いでしょう。ところが、風邪の症状がまだ軽い早めの段階で、病院でできることはあまりありません。

 「病院で風邪薬を処方してもらえばいい!」と思った方がいるかもしれませんね。しかし、風邪薬は風邪を治す薬ではありません。風邪によって起こる、頭痛や鼻水、せき、たん、発熱などを抑える成分が含まれているだけです。風邪はほとんどがウイルス感染とされていますが、風邪薬にウイルスをやっつける成分は入っていませんし、そもそも風邪のウイルスをやっつけて風邪を治療する薬は存在しません。

 そして、病院で処方される風邪薬と、市販の風邪薬は成分に大差がありません。もちろん病院で処方してもらえば健康保険によって薬の値段は多少安くはなるものの、つらい症状がある中で病院に出かけて行って、ようやく手に入れることを考えると割にあいません。

 ◇抗生物質は効果が期待できない

 「抗生物質をもらえばいい。抗生物質は市販されていないから病院に行く意味はある!」と思った方がいるかもしれません。残念ながら、前述の通り風邪はほとんどがウイルス感染です。抗生物質(抗菌薬)は細菌感染症に用いる薬ですので、風邪に対しては効果が期待できません。

 逆に、下痢やアレルギーなどの副作用リスクがあり、デメリットの方が圧倒的に大きくなります。風邪をひいた時に「早めに抗生物質をもらいに行く」というのも、お勧めできない行為です。

 2017年に厚生労働省が出した「抗微生物薬適正使用の手引き」において、「感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する」と明記されたことで、風邪に対して抗菌薬が処方されること自体が減っています。

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横浜市立大学医学部医学科同窓会 倶進会