治療・予防

軽視できない子宮内膜症
生理痛のつらい痛み、不妊の原因にも

 20~40代の女性で、月経痛がひどくなってきた、鎮痛剤を使う回数が増えた、毎月のように寝込む、という人は子宮内膜症の可能性がある。月経のある女性の約10%に見られ、ほっておくと重症化し、生理中は通常の日常生活や仕事、学業が困難になることもある。我慢しないで早めに受診してほしい。

 ▽卵巣がんの危険性も

 子宮内膜は子宮の内壁を覆う組織で、妊娠した時に受精卵のベッドの役割を果たす。妊娠しなければ必要なくなるため、内壁から剥がれ落ち、内壁から出た血液と共に腟を通って体外に排出される。これが月経だ。

子宮内膜症の主な症状

 子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織(子宮内膜症組織)が子宮以外の場所に発生、増殖する。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)産婦人科の甲賀かをり准教授は「卵巣、腹膜、子宮と直腸の間などにできることが多いです。剥がれた子宮内膜が子宮から逆流するためなどと考えられています」と説明する。

 子宮以外の場所にできた内膜も月経の周期ごとに剥がれ落ちるが、体外に排出されることはない。そのため、月経のたびに内膜組織が増えて、炎症を起こし、周りの組織に癒着して痛みを起こす。卵巣にできると、卵巣がんになる危険もある。

 ▽早期治療で重症化を予防

 子宮内膜症にかかる人は急速に増えている。甲賀准教授は「国内には推計約260万人の患者がいます。現代の女性は、初経を迎える年齢が早く、少産化が進む中で、生涯の月経回数が大幅に増えています。子宮内膜症を発症しやすい状態にあるのです」と分析する。

 患者数が多いにもかかわらず、治療を受けている人は少ない。「市販の鎮痛薬でその場をしのいでしまう女性が多いのですが、この病気は進行性です。月経の回数を重ねるごとに症状がひどくなり、不妊傾向もより強くなります。ひどい痛みや不妊が見られるならぜひ診察を受けましょう」と甲賀准教授。排便痛や性交痛があるのも、この病気の特徴だという。

 治療は、まずホルモン薬を内服し、改善しない場合には手術を行う。妊娠を希望しているならホルモン薬は使わず、子宮や卵巣を残して病巣部だけ切除する手術を検討する。甲賀准教授は「早い段階で治療を始めれば、手術が必要になるほどの重症化は避けられることが多い。できるだけ早く産婦人科を受診してほしい」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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