治療・予防

コロナ対策で高まる熱中症の危険 
救急医学会などが提言まとめる

 各地で梅雨入り前から夏日や真夏日が記録される中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策でマスク着用や換気の徹底などが求められ、熱中症への警戒が強まっている。新型コロナ感染を予防しながら、熱中症への対処をどうすべきか。日本救急医学会と日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会などで組織したワーキングループが熱中症予防についての提言をまとめた。

緊急事態宣言が解除され、マスクを着けた人々で賑わう銀座

 ◇社会的距離で孤立の恐れ

 提言の背景には、新型コロウイルス感染症予防のために求められている「社会的距離」がある。熱中症は高齢者を中心に重症化しやすい。人との接触を避ける中、孤立しがちになった高齢者らが熱中症になった場合、周囲の人たちが気づくことが遅れてしまう恐れがある。

 こうした状況を踏まえてワーキンググループは、室内の換気に十分な配慮をしつつ、小まめに室内温度を確認してエアコンを使用するよう提唱している。

 ◇冷房効率を上げる

 感染予防の鉄則は「密閉・密集・密接」の3密を避けることだが、外気との換気がされないエアコンの使用は密閉になってしまう。このため、適切な間隔で窓を開けて換気する必要があるが、そうなると冷房の効率は大きく低下してしまう。換気のタイミングをよく考えるほか、カーテンなどで窓から入る太陽光を遮ることにより少しでも冷房効率の向上も図りたい。

 また、外出する際は社会的距離に注意しながら、適宜マスクを外して休憩を取るよう提唱。同グループは「マスクの着用は、 身体に負担がかかるだけでなく、口の渇きを感じにくくなるので小まめな水分補給も忘れないでほしい」と呼び掛けている。

気温が上がる中、口を覆いランニングする人たち

 ◇暑さへの慣れが心配

 マスク着用の影響についての学術研究報告は少ない。しかし、通常のマスクを着け、スポーツジムなどのジョギングマシンで1時間(5キロ)走ると、マスクをしていない人に比べて心拍や呼吸などの回数が増加したという報告もある。熱中症リスクが必ず増大すると断言はできないものの、提言は「体に負担がかかると考えられる」としている。

 もう一つ心配なのが、不要不急の外出自粛で運動不足になり、気温の上昇に体を慣らしていく「暑熱順化」が十分でないことだ。体が気温に慣れないために、暑さが厳しくなる前から過度にエアコンを使ってしまい、暑熱順化を遅らせる危険も指摘されている。

 ◇活動量と運動量を増やしたい

 対策として同グループは、屋内や屋外で適度に運動して少しずつ体を暑さに慣らしていくことを呼び掛けている。立ち上がって足踏みをしたり、無理のない範囲でスクワット運動をしたりするなど、 自宅でも活動量や運動量を増やすことは有効だ。

「東京アラート」発動を受けて赤色にライトアップされた東京都庁

 屋外でも、せきや発熱がないことを確認した上で人混みを避け、一人や限られた人数で散歩するなどして感染予防に心がけながら運動し、暑熱順化をすることが重要とされている。

 独居や高齢で日常生活の動作に支障がある人は、特に注意が必要になる。外出自粛による運動量の減少は、これらの人の体力や基礎代謝を低下させ、それだけ暑熱順化を遅らせている。

 さらに問題なのが、外出自粛で人との接触が減っていることだ。独居高齢者などは、家族や福祉関係者の訪問減少やデイサービスの利用手控えなどによって孤立傾向が強まれば、体調変化や悪化の発見が遅れる危険性が高くなる。

 このため、面会が難しくても、家族や友人と電話で話したり、電子メールなどを活用したりして、頻繁に体調を確認する習慣を培う。また、体に異常があった時に声を掛けられる相手の連絡先を控えておくことなどが必要だとしている。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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