治療・予防

症状なくても「次」のリスク―無症候性脳梗塞
生活習慣の改善で予防(東京都済生会中央病院 星野晴彦副院長)

 脳卒中の一種で、脳の血管が詰まってその先に酸素や栄養が運ばれず、組織が壊死(えし)する脳梗塞。手足のまひやしびれ、言語障害などの症状が表れるが、中にはこうした症状がない「隠れ脳梗塞」(無症候性脳梗塞)もある。東京都済生会中央病院(東京都港区)の星野晴彦副院長(脳神経内科)は「次は症状のある脳梗塞を起こす確率が高いので、予防が重要です」と話す。

無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)とは

 ▽多くは病変が小さく無症状

 無症候性脳梗塞とは、磁気共鳴画像装置(MRI)などによる画像検査で脳組織の一部に壊死が認められるが、実際にはそれに起因する症状がなく、過去にも経験していない場合を指す。星野副院長は「脳は部位ごとに、運動、言語などの機能を分担しています。無症候性脳梗塞では壊死の範囲が小さく、重要な機能を担う脳領域から外れて点在することが多いため、症状が表れないのです」と解説する。

 症状がないことから、無症候性脳梗塞は脳ドックを受けて発見されるケースが多いという。頭痛やめまい、頭部外傷などの検査で脳の画像を撮って、偶然発見されることもある。

 世界各地の調査をまとめた研究によると、無症候性脳梗塞は高齢者の10~20%に認められるありふれた病気で、年齢が高まるにつれて有病率が上昇する。

 ▽危険因子を解消して改善

 無症候性脳梗塞を引き起こす最大の危険因子は高血圧で、他に糖尿病、脂質異常症、喫煙、不整脈の一種の心房細動などがある。

 見方を変えれば、発見後にこうした危険因子への対策を取らないでいると、次に脳梗塞を起こす恐れがある。無症候性脳梗塞の人が、「症状のある脳梗塞」を含めた脳卒中を起こすリスクは、無症候性脳梗塞がない人の2~4倍とされている。さらには、「心臓や全身の血管の病気、認知症にもつながりやすい」と星野副院長。

 危険因子を少しでも取り除くことで、次に起こり得る脳梗塞などを予防できる。「まずは禁煙です。たばこは唯一、ゼロにできる危険因子です」(星野副院長)。また、血圧が高いと血管を傷つけるので、高血圧はしっかり治療することが重要だ。減塩や節酒、適正体重の維持など生活習慣の改善、糖尿病など他の病気の管理も心掛けたい。

 星野副院長は「定期的に健康診断を受け、高血圧のような危険因子があると分かったら、生活習慣の改善に取り組みましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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