治療・予防

胸のつかえや胸焼け
~診断が難しい好酸球性食道炎(国立成育医療研究センター好酸球性消化管疾患研究室 野村伊知郎室長)~

 食道に好酸球という白血球が集まり炎症を起こす好酸球性食道炎(EoE)は厚生労働省の指定難病になっている。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)研究所好酸球性消化管疾患研究室の野村伊知郎室長は「研究が進み、治療のガイドラインも確立されていますが、この病気を知らない医師も多く、正しい診断や治療が行われていないケースがあります」と指摘する。

子どもでも発症するが、中年男性に多い

 ▽30~50代の男性

 口から始まり大腸までつながる消化管のうち、食道にだけ炎症が起こるのがEoEだ。野村室長は「小児から成人まで発症し、特に30~50代が目立ちます。また、女性よりも男性に多い特徴があります」と説明する。2013~17年の調査では、好酸球性消化管疾患の39%を占め、04~09年の調査の約2.5倍と確実に増加しているが、要因は不明だ。

 炎症の原因は食物の刺激によると考えられ、原因食物を摂取して数時間から数日、場合によっては数カ月後に症状が出る。花粉が原因になることもあるという。炎症が繰り返されると食道が細くなり、飲み込みづらさや胸焼けなどの症状が出る。小児の場合は、胸の痛みを訴えたり嘔吐(おうと)を繰り返したりする。

 ▽治療は長期戦

 診断には、内視鏡検査と組織を採取する生検を行う。内視鏡画像で縦方向の筋(縦走溝)やリング状の筋(輪状溝)、白い斑点などの特徴的な所見が認められ、生検で視野内に好酸球が15個以上確認されるとEoEと診断される。

 治療は、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用する。効果がなければステロイドの局所療法を行う。「吸入薬を服用して食道に付着させると、食道にのみ効果を表します。肝臓ですぐに分解されるので、副作用が非常に少ないのが特徴です」。大半はこの二つの治療で症状が落ち着く。原因となる食物除去を行うこともあるが、特定が難しい場合も少なくない。

 近年、好酸球を呼び寄せる鍵となるIL―13というタンパク質を中和する薬の開発も進んでいる。同センターでは、患者向けの詳しい情報を記したウェブサイトを公開しており、治療に詳しい医師のリストも作成中という。

 野村室長は「EoEは長期管理、長期治療が必要で、中断すると再発しやすい病気です。丁寧に診察する消化器内科を受診してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)(了)

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