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困窮する女性に垣根を越えた支援を
~日本女性財団・東京リアルプラットフォーム連絡会~

 女性特有の心身の不調、妊娠・出産に関する問題、性暴力被害などで困窮する女性を支援したい―医療・福祉関係者や自治体、企業などが専門分野の垣根を越えた支援を行うための東京リアルプラットフォーム連絡会が11日、都内で初の会合を開いた。小池百合子都知事が来賓として駆け付けた中、主催する一般財団法人日本女性財団の対馬ルリ子代表理事(産婦人科医)は「医療と福祉がつながり、さらに政治、経済の分野で力を貸してくれる人たちとつながった。すべての女性が健康で生きやすく活躍できる社会を目指したい」と意気込みを語った。

連絡会の初会合

連絡会の初会合

 ◇岩手から全国へ

 分野を越えた専門家が協力して女性を支援するプラットフォーム連絡会の立ち上げは、昨年11月、ある事件をきっかけに岩手県花巻市で始まった。この年、新生児遺棄事件を起こした20代の女性が有罪判決を受け、女性を非難する報道が相次いだ。望まない妊娠を防ぐことも、人工妊娠中絶をすることもできず、独りで出産せざるを得なかった女性に対して何の支援策もとられていない状況に、「困ったときには相談できる地域にしなくては」と、1人の開業医が立ち上がった。

 大学の先輩である対馬氏は、この話を聞いて「すでに女性支援に取り組む団体はある。互いに協力していけば、もっといい支援ができて、たくさんの命や人生を救えるのではないか」との思いから、自身が2年前に設立した日本女性財団で、プラットフォーム連絡会の立ち上げに向けて動きだした。このプラットフォーム事業は、独立行政法人福祉医療機構の助成を得て始まったもので、3年間で全国展開を目指す。

対馬代表理事

対馬代表理事

 ◇母船の役割果たす

 連絡会で講演した対馬氏は、日本女性財団について「包括的に女性の人生を支え、救済して乗せる母船(femship:フェムシップ)をイメージしている。フェムは女性、シップは船。女性支援に取り組むグループ、個人、たくさんの人たちが甲板の上にいる。政府や自治体、企業など多くの人と協力して活動を広げていきたい」と説明した。

 財団と連携する医師たち(フェムシップドクターズ)は、駅ナカや公民館、学校、商店街、企業などに出向いて、女性のための健康相談を行う。現在、北海道から沖縄までの18都道府県で活動を行っている。

 ◇生きにくさを解消

 都内で活動するフェムシップドクターの一人、産婦人科開業医の中島由美子氏は「ドメスティックバイオレンス(DV)や性的虐待、性暴力、月経に伴うトラブル、婦人科系の病気、望まない妊娠や中絶、同意のない性行為、不妊の悩み、更年期障害など、女性は多くの悩みを抱えている。日本のジェンダーギャップ指数(男女間の不均衡)は156カ国中116位(2022年)とG7で最下位。女性が健康に生きる権利が侵害されている」と主張、プラットフォーム連絡会の重要性を訴えた。

小池都知事

小池都知事

 具体的な取り組みとして、東京都と東京産婦人科医会が協力し、性犯罪等被害者支援に携わる医師の養成や産婦人科医の学校への派遣、中学・高校生の健康相談事業をスタートさせたことを報告した。

 来賓として参加した東京都知事の小池百合子氏は「女性の健康と活躍を後押しする取り組みに心から敬意を表したい。女性が希望に応じた生き方を選択して、自分らしく輝けるということは、より良い社会を実現する上で大変重要なこと。プラットフォーム連絡会で大いに意見を出して、東京都に届けてほしい」と激励した。

 ◇顔の見える連携を

 この日の連絡会では、医療、警察、行政の各現場および女性支援団体から、都内における女性支援の現状と課題について、それぞれ報告、意見交換が行われた。

 対馬氏は「どの人も必ず病気になり、命がなくなるときがくる。すべての人が心身ともに健康で社会的にも文化的にも健やかな一生を送れるよう、プラットフォーム連絡会では、お互いに顔の見える連携を行い、女性の現状を知り、必要な支援を行っていきたい。課題が多いということは、私たちができることはたくさんあるということ。ぜひ仲間になっていただき、東京から女性支援を変えていきたい」と、協力を呼び掛けた。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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